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2012年04月01日

雪室ブランド

新潟のイメージは雪。これをブランド化して売り出したら面白いのでは。
昨年12月、雪室を活用した食品を扱う県内19企業・団体で組織する「にいがた雪室ブランド事業協同組合」を設立した。


雪室は、雪国に古くから伝わる保存技術。
雪を地面に掘った穴などに集め、天然の冷蔵庫として活用された。

現在の雪室は、倉庫などに雪を集め、室温は一定の0~5度、湿度約90%。
太陽光を遮断し冷蔵庫と比べ、保存食品が傷みにくいという特長を持つ。

雪室で保存すれば、ジャガイモやニンジンなどの根菜は寒さから自らを守るため、デンプンを糖化させて甘くなる。
また、酒やみそなどの発酵食品は低温熟成により、まろやかな風味になるという。

コーヒーなどを加工販売する「鈴木コーヒー」(新潟市)の社長を務める佐藤さんが、雪室に出合ったのは約2年前。
社員が取引先の喫茶店から雪室で熟成されたコーヒーを持ってきた。

雪室で熟成されたことで酸味や苦みの角が取れ、まろやかな味わいに驚いた。
この味にほれ込み2010年4月に「雪室珈琲」を発売。
「コーヒー豆は南米の食材。新潟産にはなれないが、新潟の雪室を使うことで、地域ならではの特性が出る」。
新潟で生まれ育ち、地域活性化にかける思いは人一倍だ。

雪室で熟成させた食品を扱う複数の県内企業に、一緒に雪室食品をブランド化しようと声をかけ、新潟発のブランド「越後雪室屋」が誕生した。
各社バラバラだったパッケージデザインを統一し、共同で販促することで商品イメージ向上を図る。
商品も米、肉、酒など多岐にわたる。

3月上旬、千葉市の幕張メッセで開かれた国際食品飲料展「フーデックス」で、越後雪室屋を全国に初めて披露。
反響は大きく、既に大手百貨店のギフトとして販売が決まり、インドネシアからも引き合いが来ているという。

目標は、新潟から世界に通用する雪室ブランドの確立。
「雪室は厄介物の雪を利活用するエコ技術。時代にも合っている」。
まだ走り出したばかりだ。
【真野敏幸】


毎日新聞より

投稿者 trim : 2012年04月01日 18:05