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2012年03月25日

菜種・廃油の燃料化


千葉県神崎町は、東日本大震災で一時的な燃料不足や停電があったことなどを受け、廃食用油や菜種の燃料化に取り組み始めた。

町内では既にNPO法人が排せつ物を活用したガスプラント設置を試験的に進めており、同町で環境に配慮した地域独自のエネルギー確保対策が進んでいる。

震災直後、同町は2日間停電し、発電機や復旧作業で使う重機の燃料が不足。
町内の農家から燃料の提供を受けるなどし、急場を乗り切ったが、今後は東京電力福島第1原発事故で電力供給がどうなるかという不安もある。

そこで町は、廃食用油を精製した燃料「BDF」を生産しているワーカーズコープ「芝山地域福祉事業所あぐりーん」(芝山町)と協力し、独自の燃料確保や資源循環、地域自立に向けた取り組みを進めることにした。

同事業所は、菜種栽培から油の製造販売、油かすの飼料・肥料化、廃食用油の燃料化、雇用創出まで一体とした資源循環型事業に取り組んでいる。

神崎町は昨秋、菜種油の燃料化と観光、環境整備を目的に、利根川河川敷の1ヘクタールを活用して、同事業所に菜種畑を作ってもらった。
さらに、今月からは町内循環バスでBDFの供給を受け始めた。

4月以降は廃食用油について、町内3小中学校の児童生徒が家庭から持ち寄るほか、2保育所と給食センターからの回収も目指す。
廃食用油を活用した燃料は、町が所有する他の2台のバスでも使う考えだ。
石橋輝一町長は「まだ試験的だが、子どもも含め環境や地域自立へ、意識改革を図っていきたい」と話す。

一方、同事業所は現状で生産能力が限界に来ている。
成田空港のレストランなど11カ所から回収した廃食用油で月に1,600リットルのBDFを生産しているが、今後は町が回収した油が加わるほか、廃油を供給したいという打診も多い。
与世里武夫所長は「燃料化事業は昨年4月に事業を本格化させ、めどもついてきた。規模を拡大するため、プラント増設を考えたい」と話す。

また、町内では、NPO法人「トージバ」が、排せつ物の発酵による簡易ガスプラントを事務所敷地に設置中だ。
町も燃料確保手法の一つとして注目する。
神澤則生事務局長は「デモンストレーションとして、リアルに活用を見えるようにしたい。(町のBDF事業と)相乗効果で啓発になればいい」と期待している。
【清藤天】

毎日新聞より

投稿者 trim : 2012年03月25日 14:34