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2012年03月24日
世界自然遺産級ブナ林
昨年7月の新潟・福島豪雨で被害を受けた福島県只見町が復興策の一つとして、町内のブナの天然林などを「ユネスコエコパーク」に登録する構想が浮上している。
町は森林のブランド価値を高め、観光などに生かせると期待を膨らませる。
一方、自然保護団体からは「森林伐採が進みかねない」と反対の声が上がっている。
天然林は只見町など奥会津地方の4町村にまたがる。ブナは平均樹齢約250年で高さ約30メートル、幹回り3メートル以上で、研究者の間で「世界自然遺産級」といわれるほど評価が高い。
天然林を含む約840平方キロが林野庁の奥会津森林生態系保護地域に指定されている。
エコパークに登録することで知名度を高め、生態系との調和を図りながら観光地化する「持続可能な利活用」を目指す。
構想は豪雨災害で打撃を受けた地域経済を立て直す目的で町が設置した検討会が1月に提言した。
町は検討費600万円を新年度予算に計上。
2013年度にも申請する考えだ。
町は「観光など地域産業の振興につなげたい。保護地域の規制は緩めず、生態系は保全する」と話している。
これに対して、地元の自然保護団体「越後山脈を世界自然遺産にする準備会」は登録に異を唱える。
「『持続可能な利活用』といっても一定の開発は避けられず、伐採が進む可能性がある」として町に登録見送りを申し入れた。
天然林はかつて伐採が繰り返され、約40年間にわたる反対運動の成果で保護地域に指定された経緯がある。
準備会共同代表で元同町助役の刈屋晃吉さん(68)は「登録でこれまでの保護活動の積み重ねが無駄になってはいけない。
エコパークより知名度があり、保護を重視する世界自然遺産の登録を目指すべきだ」と語っている。
[ユネスコエコパーク]
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「生物圏保存地域」の通称。
生態系の保全と持続可能な活用の調和を目的とし、114カ国、580地域が登録されている(昨年7月現在)。
国内は屋久島(鹿児島県)、大台ケ原・大峰山(奈良、三重県)、白山(石川、岐阜、富山、福井県)、志賀高原(長野、群馬県)の4カ所。
河北新報より
投稿者 trim : 2012年03月24日 13:42