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2012年03月17日

「エコトマト」

たわわに実った真っ赤な果実。
千葉・柏市にある千葉大学の植物工場では、栽培中のトマトが、拳大にまで育っていた。

トマトの栽培を行っているのは、千葉大学の丸尾 達准教授らの研究グループ。

ここで栽培されているトマトには、地球温暖化の要因の1つとされる二酸化炭素が使われている。

丸尾准教授は「トマトの栽培には、二酸化炭素が必ず必要なんですよ」、「(トマトの茎の下から出る)空気の中に二酸化炭素が交じって、この部屋全体の二酸化炭素濃度、上げてるんです」と話した。
丸尾准教授らの研究では、通常よりも二酸化炭素濃度の高い場所でトマトを栽培すると、光合成が促進され、収穫量が従来よりも、25%増加する。
甘みも強まるという。

ビニールハウスの外の二酸化炭素濃度は、およそ400ppm。
一方、ハウス内の濃度は、660ppmを超えていた。
丸尾准教授は「二酸化炭素が餌ですからね。しっかりごはん食べて、しっかり太ってって感じですね」と話した。

排出削減に期待される農作物への二酸化炭素の活用。
丸尾准教授は、トマトだけではなく、光合成する全ての農作物に活用することが可能だという。
丸尾准教授は「世間では邪魔物ですよね、CO2って、邪魔物ですけども、農業に関しては、必要なものなんですよ」と話した。

千葉大学のトマト農場に二酸化炭素を提供しているのが、羽田空港にも程近い、大田区の工場。
ガソリンの給油を行っているように見えるが、燃料は水素。
「羽田水素ステーション」では、都市ガスから水素を製造し、燃料電池自動車用の燃料として供給している。

東京ガスの福地文彦さんは「こちらが水素製造装置になります。水と都市ガスを使って、水素を製造している装置になります」と話した。
再生可能エネルギーとして、今後、普及が予想される燃料電池自動車用の水素。
一方、製造過程で大量の二酸化炭素が発生するため、その処理が大きな課題となっている。
東京ガスの福地さんは「正直なところ、それまでは(水素製造で)発生したCO2は、大気中に放散して、捨てていたということになります」と話した。

現在、千葉大のトマト栽培に、羽田水素ステーションが供給している二酸化炭素は、毎月320kg。
しかし、一月最大で2,400kgの二酸化炭素が発生しており、余った分は、今でも大気中に放出せざるを得ない状況だという。
東京ガスの福地さんは「燃料電池自動車ですとか、バスですとか、そういった車が普及することによって、現在のガソリン車よりも、トータルで排出するCO2を減らせると、現実的に有効利用できる先をまだ探していくと」と話した。

企業も期待を寄せる丸尾准教授らの研究。
研究グループでは今後、水素ガスステーションと植物工場を隣り合わせで作り、栽培に活用していくプランも検討している。
丸尾准教授は「一方では、二酸化炭素をずいぶん出しているところがある、一方では、欲しいところがあると。欲しいところの人に余ったものを持ってくるという、こういう構造っていうのは、環境にも優しくなりますから、ぜひこれは進めていくべきだろうと思います」と話した。

二酸化炭素を排出する企業と、それを必要とする農作物生産の新しい取り組み。
エネルギー新時代への扉は、開き始めている。

フジネットワークニュースより

投稿者 trim : 2012年03月17日 12:52