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2012年03月15日

廃棄物から新エネルギー

東日本大震災を機に再生可能エネルギーへの関心が高まる中、長崎県佐世保市で、建築廃材や下水汚泥などの有機廃棄物を燃料とするバイオマス発電所が、7月の稼働開始を目指して建設されている。

地域の廃棄物を地域で処理しながら売電による収益を目指す全国でも先進的なビジネスモデルとして注目される。

発電所を建設しているのは、佐世保市の廃棄物処理会社「県北衛生社」(外間広志社長)など11社が出資し、平成19年7月に設立した「環境リサイクルエネルギー(ERE)」。

バイオマス発電は建築廃材や間伐材、下水処理で生じる汚泥など、炭素を含む有機物を乾燥させ燃料として利用する発電方式。
温暖化対策や省エネの観点から各地で研究が進んでいる。

EREは、佐世保市宮津町の山間に平成23年2月から総工費約50億円を投じ、建築廃材の木材などを選別・粉砕する施設▽汚泥を脱水・乾燥させる施設▽それらを燃料にして発電を行う施設の計3棟を建設している。
施設は廃棄物の中間処理と発電所を兼ね、地域の強い力となるよう「豪力」と名付けている。

同社によると、出力は約5千世帯の1年間の消費電力に相当する2,750キロワット。
同事業は環境省の温暖化対策事業、佐世保市のバイオマスタウン構想にも位置づけられている。

燃料となる建築廃材や汚泥は、契約を結んだ建設会社や廃棄物処理業者など約60社が直接搬入する計画。

震災後の電力不足で今年7月にスタートすることになった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に基づき、電気は電力会社に売却することになるが、買い取り価格は未定だ。

外間社長は「廃棄物処理はこれまで『破砕・焼却・埋める』が主流だったが、環境問題への意識が高まり『循環型』へ脱却させる必要があった。そこに東日本大震災が起き、『新エネルギー』として注目が高まっている」と話す。

稼働後は、取引業者のトラックにGPSを付けるなどして廃棄物処理の流れをインターネットで公開。
廃棄物の適正な処理とエネルギーへの再利用についても理解を深めてもらう。

また、同施設では発電のほか、廃棄物の焼却で生じる余熱をビニールハウスの温度調節に利用し、水耕栽培など地域の新たな農業創出に生かす計画もある。

EREに出資する造園・土木工業「庭建」の田雑(たぞう)豪裕社長は「企業活動はどうしても廃棄物を生み出してしまうが、ただのゴミではなく資源として活用するべきだ」と強調。外間社長も「循環型社会のモデルを示したい」と話している。

産経新聞より

投稿者 trim : 2012年03月15日 17:01