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2012年03月03日
地熱開発で意見聴取
環境省は2月24日、東京都内で「国立・国定公園内における地熱開発にかかわる意見聴取」を行った。
自然環境の保全にかかわる団体の関係者のほか、日本秘湯を守る会などの温泉関係団体の代表らが意見発表者として出席。
「十分な議論がなされないまま開発が推進され、拙速すぎる」「開発側も『分からない』と言っているような不確実な技術のまま開発を進めていいのか」などの反対意見が相次いだ。
意見聴取には、同省の渡邉綱男・自然環境局長はじめ、桂川裕樹・国立公園課長、大庭一夫・自然環境整備担当参事官らが出席。
中央温泉研究所、日本秘湯を守る会、福島県旅館ホテル生活衛生同業組合、日本自然保護協会、世界自然保護基金ジャパン(WWF)、日本野鳥の会、猪苗代湖の自然を守る会の各代表が意見を述べた。
このうち佐藤好億・日本秘湯を守る会会長は「地熱発電のポテンシャル量が地熱開発推進の資料として挙げられているが、これはあくまでも推定に過ぎない」と指摘、「熱水や蒸気は天水由来の長い時間かけて蓄積されたものであり、今生きている世代が使いきっていいというものではない。これからの世代にもかかわる問題だ」と述べ、時間をかけた議論と国の長期的なエネルギー施策に基づく議論の必要性を訴えた。
また菅野豊・福島県旅組理事長は1月19日に福島県知事に提出した、温泉事業者や地熱開発事業者らによる意見交換の場としての協議会の設置などを求める要望書を読み上げ、さらに「『安全だ』と言われ続け設置された原子力発電所だが、福島はこの通りの状況だ。一方的に安全と言って開発を進めるのはどうなのか。正確な情報の公開が必要だ」と訴えた。
このほか日本自然保護協会の辻村千尋氏は、地熱発電所内で、配管内のシリカスケールを外すために恒常的に硫酸などが注入されているという情報が最近になって初めて出てきたことを紹介し、「今になって知らない情報が出てきたことで、他にも環境に影響を与えるような事象についての情報が開示されていないのではとの疑念を持たざるを得ない」と指摘。
その上で、「合意形成のためには『リスクの共有』が必要だ。開発側がまずはあらゆるリスクとその対策を示すべき」と強調した。
意見聴取後にあいさつした渡邉局長は「徹底したモニタリングと情報共有のあり方など、今日の内容を踏まえてまとめる。実際に運用する都道府県が使いやすい内容にしていければ」と語った。
同省では、意見聴取を踏まえた上で、今月中に国立公園内での地熱開発にかかわる新たな通達を出す予定だ。
観光経済新聞より
投稿者 trim : 2012年03月03日 10:00