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2011年12月24日

ペットボトルをペットボトルに


東洋製缶グループは、使用済みペットボトルをペットボトルにリサイクルする循環型事業を強化する。

来年2月に味の素ゼネラルフーヅ(AGF)のペット入りコーヒーのほぼ全商品で採用されることになり、安定的に販売できるようになる。

飲料メーカーで再生ボトルを導入しているのはAGFやサントリー食品インターナショナルなどに限られ、普及はこれから。

国内のペットボトルリサイクル率は2010年度で84%近くにのぼり、欧米諸国と比べても高率だが、循環型リサイクルが定着すればさらなる拡大が期待される。

東洋製缶グループの「ペットリファインテクノロジー」(川崎市)は、2008年6月に自己破産したペットリバースから事業を継承、現在では国内で唯一、ペットボトルの「ケミカルリサイクル」を手がけている。

使用済みペットボトルは市町村などで回収された後に洗浄、粉砕されて数ミリメートルの粒状の「PETフレーク」となる。
従来の手法ではこの後、主に卵パックや食品トレーにリサイクルされていたが、ケミカルリサイクルはPETフレークを再生工場に持ち込んで化学的に分解。
さらに、化学反応によってペットボトル原料となる樹脂に再加工する。
分子レベルまで分解するため、飲み残しなどの汚れが完全に除去されることが確認されている。

この手法について、東洋製缶開発本部の中町浩司主席部員は「半永久的にペットボトルからペットボトルを再生することが可能」と強調する。
同社は再生されたペットボトルをメーカーに販売しており、これにAGFが大口の顧客として加わる。
東洋製缶は販売量について明らかにしていないが、AGFの導入で増えるという。

再生ボトルを導入するAGFは、「元と同じ品質のものに戻すことで、資源は最も有効に活用される」(村林誠社長)と、ケミカルリサイクルを採用する理由を述べる。
同社は年間約2億5,000万本のボトル入り飲料を販売しているが、来年12月までに順次、再生ボトルに切り替える。
これにより、原料となる石油使用量を年間60%削減できるという。

AGFはもともと創業40周年に当たる2013年に導入を予定していたが、1年前倒しすることを決めた。
同社は再生ペットボトルを「フレンドリーボトル」と命名。
ボトルの側面やキャップにロゴマークをつけ、同社の環境への取り組みをアピールしていく方針だ。

ただ、リサイクル品を利用する上で最大の課題となるのがコスト。
回収、粉砕、化学処理などの工程を経るため、その分のコストはかかる。
その点について、AGFの村林社長は「どの程度(のコストアップ)かは石油価格の変動にもよる。
新しい仕組みなので少しはコストが上がるが、大きな影響はない」と述べている。
それでも採用に踏み切ったのは、消費者の意識の高まりのためとしている。

飲料業界では、サントリーも今年4月、協栄産業(栃木県小山市)と共同で、循環型の「メカニカルリサイクル」手法を導入した。
これは、回収したペットボトルを高温で溶解、濾過(ろか)することで再生する手法だ。

ボトルからボトルへという循環型リサイクルを導入している飲料メーカーは限られる。
東洋製缶も新たな再生工場の建設について「現時点ではない」としており、コストメリットが得られるような政策の必要性も指摘されている。
【高橋寛次】

産経新聞より

投稿者 trim : 2011年12月24日 17:20