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2011年10月31日

花王エコラボミュージアム

「花王」の西日本最大級の生産拠点、和歌山工場(和歌山市湊)に7月、同社の最先端のエコ技術などを紹介する「花王エコラボミュージアム」がオープンした。

和歌山は「エコロジー」の思想を広めた世界的な博物学者、南方熊楠(みなかたくまぐす)の出身地でもある。

「いっしょにeco」をテーマにした展示や体験プログラムを通じて、環境に配慮したモノづくりへのこだわりを体感した。

「研究の森」をイメージしたという館内。
巨大な丸太を連想させるガラス張りのブースが並び、中央には学校の理科室にあるような実験台も。
床は、緑色と水色の水玉模様で、森の中に川が流れている様子を表しているという。
まさに「研究の森」の名にふさわしい自然と調和した近未来の研究施設の雰囲気だ。

見学は、「地球環境の今を知ること」のコーナーから始まる。
DVDなどで温暖化や生態系破壊など地球が抱える問題を学んだら、いよいよ花王の取り組みを紹介する展示へ。
スタッフに説明を受けながら、原材料選びから生産、流通、家庭でごみに出すまでの製品のライフサイクルに沿って6つのブースを巡る。

目に留まったのは、実物大のココヤシとアブラヤシのレプリカを多数展示するブース。
スタッフが「洗剤の原料の油脂は、環境に優しいこれらの植物からとっています」と教えてくれた。
ここではタブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」が用意され、画面を操作して実を切断し油脂を絞り出す過程などがゲーム感覚で楽しめる。

さらに進むと、製品を梱包(こんぽう)した段ボールが大量に積み上げてある。
従来の積み方と比べると、段ボール自体も小さくなり隙間なくきれいに並んでいるのがわかる。
製品を小さくしたり積み方を工夫して搬送回数を減らし、温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量を削減しているのだという。
6つ目のブースのテーマはごみ出し。
「従来の洗剤」「新製品のコンパクトな容器の洗剤」「つめかえ用洗剤」を、それぞれ100家族が1年間使った場合の空の容器がそれぞれ集められ、ごみの量の違いがひと目でわかる。
消費者も「いっしょにeco」しなければ環境を守れないことがうなずける。

館内の中央にある家事を科学する実験スペース「エコ家事ラボ」では、従来品より2.5倍に濃縮された洗剤「アタックNeo(ネオ)」の効力を検証。
容器はコンパクトなのに、洗濯回数は従来の洗剤と同じという優れもの。
ごみの量が減るだけでなく、すすぎも1回で良いので節水にもなる。

見学コースには、ミュージアムと隣接する温室も。フィリピンやマレーシアなどの熱帯地域の気候を再現し、ココナツやヤシなど80種以上を成育。
今使われている原材料の植物は食用でもあり、今後、人口増加が予測されることから非食用の植物で洗剤が作れないかなど新しい開発に挑戦しているという。

川俣章館長は「熊楠が生まれた和歌山はエコの始まりの場所。
ここで学んだことを家庭に持ち帰り、自分たちにできることを考え実践してほしい」。
環境にやさしいモノづくりを徹底する花王のビジョンを肌で感じた。

花王エコラボミュージアム
和歌山市湊1334。見学は平日(年末年始、お盆休みを除く)の午前9時半~午後4時。
無料で、定員は5~40人。事前予約が必要で、見学希望日の2カ月前から同ミュージアムで受け付ける。所要時間は1時間半または2時間10分で、計3コースあり、工場見学も併せてできるプログラムもある。
【田中俊之】


産経新聞より

投稿者 trim : 2011年10月31日 16:38