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2011年06月16日
「投高打低」減灯も影響か!?
プロ野球は例年以上に「投高打低」でシーズンが進んでいる。
一因として、照明を可能な限り落とした「減灯」での試合も無視できないようだ。
例年より薄暗い中で、視力が落ち込み、ボールを正確にとらえることが難しくなっており、スポーツビジョンの第一人者でもある愛知工業大の石垣尚男教授は「『減灯』が無関係ではない」と指摘する。
プロ野球は全試合数の3分の1ほどを消化し、防御率1点台の投手が続出している。
対称的に、打者の成績は低調なままで、例年10人程度いる打率3割超えの打者が、セ・リーグでは4人。
バットに当たったときの反発を抑えた「統一球」の影響などが「投高打低」の一因に挙げられている。
一方、開幕前に東日本大震災が発生し、半数ほどの本拠地球場では節電策の一環で「減灯」の中で試合を実施。
明るさは視力を大きく左右し、石垣教授は「球場が暗くなれば、視力を落とす作用が働く」と説明する。
視力の低下は物体を鮮明に判断する能力を下げるだけでなく、距離感を鈍らせ、さらには動くボールを目で追う際に「暗い球場の方が速く感じる『錯視』が起きる」(石垣教授)という。
同じ速度の自動車に乗っていても、夜の方が速いと感じる現象と同じ理論だ。
大学野球の選手を対象にした実験では、視力1.2の選手が0.7に矯正するコンタクトレンズをはめて約130㌔の直球を20球打撃すると、ヒット性の打球が約10%減少。
視力低下で動くボールを的確に捕らえることが難しくなったためだ。
当該球場の一つである東京ドームはバッテリー間の明るさが2,800ルクスから2,000ルクスに下がっており、石垣教授は「3分の2程度まで落ちれば視力低下が起き、打撃に影響はあると思う」と話す。
16日現在で打率・281の巨人のラミレスは、本拠地では打率・258に低下。
「ちょっと暗いと感じることはある」と打ち明ける。
西武ドームが本拠地の西武の栗山も、打率は3割を超えるが「打席でボールが黒っぽく見える」と話し、「今季は今までと別の球場でやっていると考えている」と明かす。
視力の変化を感じられるかは個人差も大きく、環境への適応力が高ければ徐々に対応できてくるというが、電力需給の問題で各球場では節電を推し進めなければならず、打者には厳しい環境が続きそうだ。
【小川寛太】
産経新聞より
投稿者 trim : 2011年06月16日 21:00