« 2011年05月 | メイン | 2011年07月 »
2011年06月30日
「環境こだわり農業」
滋賀県は、減農薬などの「環境こだわり農業」を継続推進するため、国が2012年度に創設する「環境保全型農業直接支援対策交付金」の適用要件として「魚のゆりかご水田」など8項目を国に申請した。
すべての申請が認められれば、昨年度の認定農地の3分の2程度が引き続き交付対象になる見通し。
嘉田由紀子知事は今後も国に最大限の支援を求める方針で「新たな営農技術の研究も重ねながら、滋賀の環境こだわり農業の推進に努めたい」としている。
魚道などを整備する「ゆりかご水田」は、生物多様保全に配慮する取り組みとして提案した。
緩やかに効果が表れる肥料の使用や牛ふんといった堆肥の活用など温室効果ガスの削減につながる対策も盛り込んだ。
環境こだわり農業は、減農薬などを実践する田畑に交付金を出す事業。
県内の対象面積は昨年度で12,000㌶と全国トップだが、2012年度から国の交付金制度が変わるため、「レンゲの栽培、肥料化」など5項目の対策のうちいずれかを加えなければ大半の田畑が対象から外れる。
県は事業の必要性を踏まえ、国に制度設計の見直しを要望した結果、国が都道府県の独自対策を交付要件に追加する方針を決めた。
県は申請内容の見通しについて「国の検証や承認が必要なため楽観はできない」(農業経営課)としている。
京都新聞より
2011年06月29日
屋根に芝生 エアコンいらず?
南アルプス市の山梨県木材協会木の国サイトで、4月に展示ログハウスに施工した「屋根緑化」の太陽熱遮断効果に関する中間報告をまとめた。
屋上緑化方法を住宅用屋根型に改良して軽量土を詰めたポリエステル製チューブの上に芝生を敷き、夏の室温を低く保とうという実験はエアコンに頼らない新たな猛暑対策を実証した。
実験に使われているのは、6畳タイプと4畳タイプのログハウス。
4月に6畳タイプのトタンふき屋根上に埼玉県の屋上緑化施工会社が取り付けた。
5月下旬に芝生が軽量土に根付き、室温効果データを取ってきた。
木の国サイトのデータによると、屋根緑化を施したログハウスと屋根緑化なしのログハウスの室温の差が如実に現れたのは6月4日(晴れ)。
午前9時の段階で、屋根緑化なしタイプは室温がすでに23.5度となっていたが、屋根緑化タイプは19.5度。
この日最高気温(31.0度)を記録した午後2時になると、屋根緑化なしタイプは32.0度まで室温が上昇したのに屋根緑化タイプは25.5度。
実験は外気熱とのまざりを防ぐため窓を閉め切った状態で続けられ、翌5日の天気は曇りだったが、午前11時には外気温が29.0度まで上昇。
屋根緑化なしタイプの室温が27.5度だったのに対して屋根緑化タイプは22・.5度だった。
実験では湿度も計測した。
外部の平均湿度が63.5%だったが、ログハウス内は平均50.3%。
木材が湿度を吸収している様子がわかる。
家具製作技能士らによると、木材の表面をコーティングすると湿気の吸収率が落ちてしまうが、木材に染みこむタイプの塗料を使った木質内装なら室内湿度を低下させる効果は大きいという。
日本の夏のむしむし感を和らげる木造住宅に室温上昇を抑えてくれる屋根緑化を加えると、エアコンの使用頻度が下がり、省エネ暮らしができると木の国サイトではPRする。
産経新聞より
2011年06月26日
ごみ分別収集の秦野市
生ごみの資源化・減量化を目指し2006年8月から、生ごみの分別収集を実施している神奈川県秦野市。
県内でも先進的な取り組みとして、226世帯でスタートして5年。
今年9月に5自治会850世帯となる。
手間や臭いの問題もあり普及は思うように進まず苦戦しているが、市は「興味を持つ市民は多い。
啓発を行い、徐々に進めていきたい」としている。
市内の家庭から排出される可燃ごみは10年度で約3万㌧。
このうち約40%が生ごみで、しかも約80%が水分という。
市は、自治会単位で生ごみの分別回収を行い、堆肥化して還元するモデル事業を行っている。
協力する家庭には、2種類(18㍑、11㍑)の生ごみ専用バケツのどちらかを配布している。
専用バケツは二重構造で、内側には無数の穴が開き、水切りができる仕組み。
回収は週2回。
今年5月末現在で約750世帯が協力、月に6,000㌔を回収している。
回収の対象は、貝殻や梅干しの種、鶏の骨、紙類、たばこの吸い殻などを除いた生ごみ。
その他の可燃物と分ける手間や、臭気などが普及を妨げる課題として指摘されている。
2009年から参加した自治会で会長を務めていた男性(35)は「総会で賛成が得られ、170世帯のうち100世帯の参加でスタートした。思ったより大変ではないが夏場は臭いが気になるので、水切りバケツのふたの裏に脱臭剤をつけている」と話す。
今年4月から参加した同市南矢名の家庭では、台所の三角コーナーで一度水切りしてから、専用バケツに入れている。
主婦(38)は「これまでは生ごみの水が漏れるのが嫌でポリ袋を二重にしていたが、袋が減りエコになった」。
近くの主婦(67)は「ごみ回収場所のカラスも減り、きれいになった。もっと協力する家庭が増えてほしい」と話す。
市はこのほか、土の上に置き生ごみを処理するコンポスターや家庭用生ごみ処理機の普及も進め、合わせて約9,000世帯に達している。
特に、各家庭からの排出量が減る家庭用の生ごみ処理機には、1999年度から補助制度を導入、約3,000世帯に補助を行っている。
市は生ごみの分別収集に対応して、1,000世帯までの生ごみを分解・堆肥化する大型生ごみ処理機を今年3月末に導入した。
生ごみの分別収集は2,500世帯を目指していた。
市清掃事業所の橋本晋一所長は「目標より遅れているのは、手間がかかるのが原因。市民は興味を持ってくれているので、コンポスターや家庭用生ごみ処理機の普及と併せ、生ごみの資源化・減量化を進めていきたい」と話している。
カナロコより
2011年06月23日
「暑さをしのゴーヤ」
ごみの資源化や地球温暖化防止の二酸化炭素排出削減に取り組む鹿児島県大崎町は22日、建物や室内の温度を下げる効果がある「緑のカーテン」用のゴーヤの苗とネットを町民に無料配布した。
東日本大震災の原発事故に伴う夏場の電力不足に備える町の「省エネ対策」第1弾。
名づけて「暑さをしのゴーヤ大作戦」。
配ったのは、苗3本とネット(縦横1.8メートル)がセットになった500個。
配布所となった町保健センターには多くの町民が長蛇の列をつくった。
大野優子さん(53)は「プランターに植えて風呂場の窓にはわせます」と笑顔で話した。
苗は野方支所でも配られた。
町は2005年から地球温暖化防止のために庁内の給湯ポット廃止▽パソコンなどの待機電力カット――など節電に努める一方、一般廃棄物のリサイクルにも取り組み、環境省の調査によると、人口10万人未満の自治体の中で、リサイクル率が4年連続(2007~2010年)日本一になっている。
町庁舎では既に数カ所の窓にゴーヤを植え付けており、川添俊一郎・住民環境課長補佐(52)は「緑のカーテンは気軽にできる節電対策。
さらに多くの家庭や事業所などにも広げていきたい」と話している。
【新開良一】
毎日新聞より
2011年06月19日
“萌え”で県内を美化!
兵庫県は5月30日から始めた環境美化キャンペーン「クリーンアップひょうごキャンペーン」のPRに、イラストレーター・ゆきうさぎさんの描いた“萌(も)えキャラ”を起用すると発表した。
ゆきうさぎさんはベストセラーとなったビジネス小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のキャラクターと挿絵を描いたことで知られている。
萌えキャラがあしらわれたポスターは1,700枚を作成、オリジナルしおりも25万枚を作成する予定でいずれも県庁や市町庁舎をはじめ県内の公共施設や、主な書店に掲示・設置する予定。
同県は環境省が提唱する「ごみ減量・リサイクル推進週間」(5月30日~6月5日)から6月の環境月間や海、山開きのシーズン(7月)にかけて県内各地で環境美化統一キャンペーンを展開する。
まんたんウェブより
2011年06月18日
気分は南極
砕氷艦「しらせ」が持ち帰った南極の氷が、総社市の市立阿曽小学校にプレゼントされた。
南極の氷は、2代目「しらせ」が平成21~22年の南極観測で採取した一辺20㌢のサイコロ状の氷塊(重さ約3㌔)。
2万年から4万年前にできたとされ、「地球の自然環境への興味を深めてほしい」という自衛隊岡山地方協力本部が企画した。
南極観測にヘリコプター操縦士として参加した海上自衛隊の橋本直樹3佐(46)が5、6年の児童代表に氷を手渡し、「しらせ」の活動ぶりをビデオで紹介。
6年の歳原花梨さん(11)は「氷を割って進むしらせはすごい。氷は家のと違ってツブツブしていました」と話していた。
産経新聞より
2011年06月17日
ジブリ横断幕
東京都小金井市のスタジオジブリの屋上に、「スタジオジブリは原発ぬきの電気で映画をつくりたい」と書かれた横断幕が掲げられ、ネットを中心に話題を集めているが、同横断幕は宮崎駿監督の考案であることがわかった。
スタジオジブリは、16日午前中に同横断幕を掲げたことを明かし、「攻撃的な意味はありません。横断幕に書かれている内容がすべてです」とコメントした。
なお、詳細については8月10日発行の小冊子「熱風」にて発表するという。
『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』『もののけ姫』などの例を挙げるまでもなく、宮崎監督は一貫して、「自然と人間との共生」をテーマに作品を生み出してきた。
一方で埼玉県所沢市や東京都東村山市などの森を保護する「淵の森保全連絡協議会」の会長を務めるほか、昨年の9月には原発の安全性をPRする福島県双葉郡富岡町の「エネルギー館」から『となりのトトロ』などのキャラクターグッズ販売を撤退させるなど、環境問題には人一倍関心が強いことはよく知られている。
そして震災後の3月28日、映画『コクリコ坂から』の主題歌発表記者会見の際にも、節電のためにマイクを使用せずに行うなど、一貫して自然と現代社会とのかかわり方について考え続けてきたスタジオジブリ。
そこで宮崎監督は「今は高所から文明論を軽々しく語るときではない。今も原発で作業する人たちなど、多くの犠牲に感謝と誇らしさを感じる」とコメントしていたこともあった。
原発の是非を問うと必ず「ではお前は電気を使わないで暮らせるのか?」といった感情論になりがちだが、確かにここまで発展した文明を今さら後退させるのは不可能なこと。
しかし、福島第一原子力発電所の放射能の問題の解決のめどがいまだに付いていない現状もある。
未曾有の被害を受けた日本が今後、エネルギー問題をどうするべきなのか、世界が注目している。
そんな中で出されたスタジオジブリのメッセージは、日本人としてどのように生きていくべきなのか、ということを改めて見つめ直すきっかけになるのではないだろうか。
【島村幸恵、壬生智裕】
シネマトゥデイより
2011年06月16日
「投高打低」減灯も影響か!?
プロ野球は例年以上に「投高打低」でシーズンが進んでいる。
一因として、照明を可能な限り落とした「減灯」での試合も無視できないようだ。
例年より薄暗い中で、視力が落ち込み、ボールを正確にとらえることが難しくなっており、スポーツビジョンの第一人者でもある愛知工業大の石垣尚男教授は「『減灯』が無関係ではない」と指摘する。
プロ野球は全試合数の3分の1ほどを消化し、防御率1点台の投手が続出している。
対称的に、打者の成績は低調なままで、例年10人程度いる打率3割超えの打者が、セ・リーグでは4人。
バットに当たったときの反発を抑えた「統一球」の影響などが「投高打低」の一因に挙げられている。
一方、開幕前に東日本大震災が発生し、半数ほどの本拠地球場では節電策の一環で「減灯」の中で試合を実施。
明るさは視力を大きく左右し、石垣教授は「球場が暗くなれば、視力を落とす作用が働く」と説明する。
視力の低下は物体を鮮明に判断する能力を下げるだけでなく、距離感を鈍らせ、さらには動くボールを目で追う際に「暗い球場の方が速く感じる『錯視』が起きる」(石垣教授)という。
同じ速度の自動車に乗っていても、夜の方が速いと感じる現象と同じ理論だ。
大学野球の選手を対象にした実験では、視力1.2の選手が0.7に矯正するコンタクトレンズをはめて約130㌔の直球を20球打撃すると、ヒット性の打球が約10%減少。
視力低下で動くボールを的確に捕らえることが難しくなったためだ。
当該球場の一つである東京ドームはバッテリー間の明るさが2,800ルクスから2,000ルクスに下がっており、石垣教授は「3分の2程度まで落ちれば視力低下が起き、打撃に影響はあると思う」と話す。
16日現在で打率・281の巨人のラミレスは、本拠地では打率・258に低下。
「ちょっと暗いと感じることはある」と打ち明ける。
西武ドームが本拠地の西武の栗山も、打率は3割を超えるが「打席でボールが黒っぽく見える」と話し、「今季は今までと別の球場でやっていると考えている」と明かす。
視力の変化を感じられるかは個人差も大きく、環境への適応力が高ければ徐々に対応できてくるというが、電力需給の問題で各球場では節電を推し進めなければならず、打者には厳しい環境が続きそうだ。
【小川寛太】
産経新聞より
2011年06月15日
電動バイクに脚光
電気を充電して走る電動バイクが存在感を増している。
“クリーンな足”として日常、利用されるだけでなく、震災などでガソリン不足になった際にも便利な乗り物として注目されている。
電動バイクは、ガソリンで走る50ccバイクと見た目は大差がないが、走ってみると差がはっきりする。
静かなモーター音のほかは、バイク特有の振動もない。
最高時速は約50㌔で電動アシスト自転車のようにペダルをこぐ必要はない。
東日本大震災の後、ガソリンがなくても走れる点が注目され、「関東、東北を中心に注文が急に増えた」(テラモーターズ)という。
細い道を通れる小回りの良さも重宝されているようで、被災地以外でも、環境意識の高まりから、街中の買い物などに「ちょい乗り」用に使う人が増えている。
最近、ガソリン価格は高止まりする傾向が続いているが、そんな中、燃料費も安く済む。
フル充電にかかる電気代は18~30円程度。
バッテリーの性能が上がってきたこともあって、これで35~50㌔程度も走れる。
燃費は一般的な50ccバイクの約5分の1以下になる。
充電は付属のプラグを家庭用の100ボルトコンセントに差す方式が多い。
フル充電には種類によって2~9時間程度かかる。
給油は不要で、排ガスはゼロ。
「一般的なマンションのエレベーターに載せられる大きさで、部屋に置いておくことも可能」(ヤマハ発動機)など扱いもガソリンのバイクより手軽だ。
ただ、法律上はガソリンで走るバイクと同じ扱いとなり、運転免許が必要だ。
ナンバープレートや自動車損害賠償責任保険への加入、ヘルメットの着用も欠かせない。
1人乗りのタイプは、子どもを乗せて保育園に送迎するような使い方はできない。
電動バイクは、ヤマハ発動機が昨年9月に新型車種を発売したほか、新興のテラモーターズ(東京都渋谷区)が昨年4月、中国製の低価格品を売り出し、家電量販店やホームセンターなどに販路を広げている。
今年5月には大手商社系の伊藤忠エネクス(東京都港区)が、バッテリーの着脱ができるタイプの台湾製電動バイクを系列のガソリンスタンドで売り出した。
オートバイの国内市場は、若者のバイク離れが進み右肩下がりが続いている。
しかし、静かでクリーンな電動バイクは、市場拡大が見込まれ、ホンダも昨年12月から事業者向けにリース販売している。
【富塚正弥】
読売新聞より
2011年06月14日
休耕田で環境学習
使われなくなった田んぼに水を入れ、多様な生物がすむ景観を取り戻そうと、新潟市西区藤蔵新田地区で湿地再生の動きが始まった。
同市農林水産部が進める美しい農村づくりの一環。
地域住民も協力し、「休耕田を子供たちへの環境教育の場として役立てたい」と夢はふくらんでいる。
湿地再生が行われた休耕田は住民が提供した3㌃と8.3㌃の2カ所。
そのうち1カ所は20年ほど前まで田んぼとして使われ、その後は約3年前までアイガモを飼育、現在は耕作放棄されたままだった。
再生作業は住民らも参加した。
4月に休耕田を掘り返して準備した上、6月上旬、排水路と休耕田の間を水生生物が行き来できるように魚道を設置し、川から暗渠(あんきょ)を通して稲作用の水を流した。
稲作用水の供給が止まる秋から冬は底土が砂地のため水は干上がってしまう。
そこで、水生生物の避難場所として長さ1㍍、幅70㌢、深さ30㌢の水槽を2カ所埋め込んだ。
作業終了後、再生された湿地に暗渠から水が流れると、早速多くの稚魚が流れに乗ってやってきた。
生物調査用に排水路で捕獲されたドジョウとフナも入れられた。
今後は土中に眠る水草の種子が発芽したり、さらに多くの魚や水生昆虫が湿地に入り込むことが期待されている。
「どうなるか楽しみ。秋以降も植物は大丈夫だと思うが、魚などは水槽だけが頼り」と話していたのは、湿地の再生作業に参加した地元の農業、原田敏正さん(59)。
同市が今夏、この湿地で計画している子供たち向けの自然観察会でも住民らがガイドを務める予定だ。
同市農村整備課の樋口将至副主査は「休耕田は耕作地に戻るのが一番だが、放棄したまま除草剤をまいておくだけでなく、多様な生物がすめる湿地に再生して活用できることを示したい」と話し、今後は湿地に手を加えず、見守り続ける方針だ。
産経新聞より
2011年06月13日
小さな藻からコンブまで
小さな藻や海藻からエネルギーを取り出す研究で、日本が相次いで成果を上げている。
しかし、いずれも実用化には、こぎつけていない。
食料と競合しない代替エネルギーには、国内外から熱い期待が寄せられている。
電力中央研究所の神田英輝主任研究員は、アオコから「緑の原油」を常温で効率よく取り出す方法を開発し、2010年3月に発表した。
アオコは、富栄養化した湖や池に大量発生する藍藻類で、細胞内に油を含む。
その抽出に環境負荷の少ない「DME」という溶剤を使って、従来の乾燥、細胞壁の破壊、有毒な溶剤の除去といった複雑な工程を不要にし、省エネと低コスト化を実現した。
筑波大学大学院の渡邉信教授は、石油の主成分である炭化水素を多く生産する藻を沖縄の海で発見し、2010年12月の「第1回アジア・オセアニア藻類イノベーションサミット」で発表した。
このオーランチオキトリウムという微細藻類は、それまで研究されてきたボトリオコッカスという藻の10倍以上の効率で炭化水素を生産する。
京都大学の村田幸作教授は2011年4月に、アルギン酸からエタノールをつくる技術を世界で初めて確立した。
コンブやホンダワラなど褐藻類の主成分であるアルギン酸を、細菌のはたらきを利用してエタノールに転換する。
このバイオテクノロジーは、各種バイオマス(生物資源)からエタノールやブタノール、プロパノールなどアルコール燃料をつくりだす研究に応用できるという。
海外でも研究成果が上がっており、それぞれの実用化に向けて研究者や企業がしのぎを削っている。
震災後の2011年4月の衆議院予算委員会では、新党日本の田中康夫代表が「国策として展開すべき」クリーンエネルギーとして、オーランチオキトリウムに言及した。
2011年7月には、藻類にテーマをしぼったバイオマス燃料の国際会議「Algal Biomass, Biofuels and Bioproducts」の第1回が米国で開催される。
日本からは、オーランチオキトリウムを発見した渡邊教授が登壇予定だ。
【瀬戸内千代】
オルタナより
2011年06月12日
浜の銘酒南会津で復活
東日本大震災で壊滅的被害を受けた福島県浪江町請戸で造られてきた銘酒「磐城壽(いわきことぶき)」が、遠く離れた会津地方で復活を遂げる。
蔵元の鈴木酒造店は津波で酒蔵などが全壊したが、会津若松市の試験場に預けた酒母が残っていたため、専務で杜氏(とうじ)の鈴木大介さん(38)が南会津町で酒造りを再開した。
福島第1原発事故で請戸地区は警戒区域に入っており、当分戻ることはできない。
地元での酒蔵の再建が容易でない中、鈴木さんは南会津町で再出発の一歩を踏み出した。
鈴木酒造店は江戸後期の天保年間(1830~43年)の創業で、「日本一海に近い酒蔵」をアピールしてきた。
海側には高さ約3㍍の防潮堤があり、上れば太平洋を一望できた。
磐城壽は「コメの味が生きた酒らしい酒」が特徴だった。
しかし、津波によって仕込み蔵や貯蔵タンク、瓶詰めした商品、精米所などが全て消え去った。
「海沿いの高さ15㍍の松並木があっという間に倒された」と、鈴木さんは振り返る。
原発事故も重なり、鈴木さんは妻子や両親らと米沢市に避難した。
酒造り復活へ大きな後押しとなったのが、酒蔵独自の山廃酒母。
中に含まれる酵母を分析するため、ことし1月に県ハイテクプラザ会津若松技術センター(会津若松市)に預けたものが冷凍保存されて残っていることが4月に分かった。
「山廃酒母には、酒蔵特有の微生物環境が反映されている。これがあるのは、蔵が残っていることに等しい」と鈴木さん。
酒造りの再開を決意し、家族と離れて単身、親交のあった南会津町の酒造会社に出向いた。
町内の避難所で暮らしながら醸造タンクを借り、5月に磐城壽の純米酒の仕込み作業を始めた。
水は請戸地区とは違うものの、酒米やこうじ菌はこれまでと同じ。
今月下旬に初搾りを行い、7月中旬には出荷する予定だ。
原発事故によって浪江町は人口の半数近くが県外に避難している。
地域の一体感が失われることに危機感を抱く鈴木さんは「南会津町の酒蔵の協力で、いい酒に仕上がりそうだ。この酒を飲んでもらうことで、地元・浪江の絆の復活につなげたい」と話す。
【菅野俊太郎】
河北新報より
2011年06月08日
リニア中間駅は1県1駅
JR東海は7日、2027年に開業予定のリニア中央新幹線(東京-名古屋)について、東京、愛知を除く沿線の4県に設置する中間駅の計画案を発表した。
今後、自治体などと協議を進めるが、JR東海は中間駅建設費は全額自治体負担を求めており、交渉は難航が予想される。
同社は1県1駅ずつの中間駅整備を予定している。
沿線となるのは4県。
このうち神奈川県では相模原市、山梨県では甲府市、中央市、昭和町にかかる地域、岐阜県では中津川市を有力候補地とした。
長野県については、当初は県南部の高森町周辺が候補地とみられていたが、今後県側の意見を聞きながら詰めることにした。
発着駅については、東京がJR品川駅、愛知がJR名古屋駅と正式に決めた。
建設の前段階となる環境影響評価(アセスメント)には年内にも着手する方針で、中間駅設置を巡る自治体との調整を早期にとりまとめたい考えだ。
ただ、整備には地上駅で350億円、地下駅で2,200億円もの費用が必要で、JR東海側は全額自治体負担の姿勢を打ち出している。
計画案に示された候補地では、在来線との接続が難しいとの見方もあり、自治体との調整は難航が予想される。
リニア新幹線は、最高時速505㌔で品川-名古屋間を約40分、品川-大阪間を約67分で結ぶ計画。
フジサンケイ ビジネスアイより
2011年06月07日
夏休みキャンプ大人気
福島第1原発事故で、屋外活動を制限されている県内の小中学生に野山で元気に遊んでもらおうと、NPO関係者らが夏休みに北海道でのサマーキャンプ(林間学校)を計画している。
6日からホームページで参加者を募ったところ、定員200人が予約開始30分で埋まる人気ぶり。
実行委員会は2次募集も視野に、活動資金の協力を呼び掛けている。
林間学校の実行委は北海道と県内のNPO関係者らで構成。
7月25日~8月30日、北海道南部の大沼国定公園(七飯町)を拠点に活動する。
同町の函館大沼プリンスホテルに宿泊しながら、山歩きや農業、渓流釣りや星の観察など自然体験を楽しみ、学生ボランティアによる夏休みの宿題指導や補習授業も予定。
農家や漁師の家にホームステイも計画中だ。
応募した保護者からは「子供を外で思い切り遊ばせてやれる環境が見つかってよかった」と、歓迎の声が寄せられているという。
200人の応募は即日で締め切られたが、実行委は2次募集も検討している。
だが、2,500万円が目標の支援金は178万円しか集まっていないといい、NPO「ねおす」(札幌市)の宮本英樹理事は「理念に賛同してくれる人は、ぜひ資金援助してほしい」と話している。
参加は1週間単位で最大5週間滞在でき、費用は期間にかかわらず子供1人3万円。
支援金などを受け付けるホームページは「ふくしまキッズ夏季林間学校」問い合わせは現地本部(0138・67・3777)。
【田中裕之】
毎日新聞より
2011年06月06日
〈探偵ガリレオ〉最新刊登場!
〈探偵ガリレオ〉シリーズの最新長編が刊行された。
『真夏の方程式』である。
シリーズ作品としては6冊目、長編では3冊目となる。
「週刊文春」連載時から、単行本化を楽しみにしていた読者も多いことだろう。
〈探偵ガリレオ〉こと湯川学の活躍を、また本で読むことができる。
今回の舞台は風光明媚な海辺の町、玻璃ヶ浦である。
帝都大学の物理学研究室を離れて湯川がこの地にやってきたのは、玻璃ヶ浦の沖合いの海底にレアメタルを含む鉱脈が見つかり、資源開発の計画が発足したためだ。
海は水産業の舞台であり、観光都市としての資源でもある。
当然住民からは自然破壊を危惧する声も上がり、計画が環境に与える影響を評価することが求められた。
そのための調査において湯川の提案した手法が採用されることになり、現地まで足を伸ばすことになったのである。
今回の特筆すべき点は、湯川と、ある少年との交流が描かれていることである。
小学校5年生の柄崎恭平は、夏休みの一期間を親戚が経営する旅館で過ごすために玻璃ヶ浦へやってきた。
往路の電車の中で、偶然彼は湯川と知り合ったのである。
招聘元の企業に借りを作りたくないといって、湯川は恭平の泊まる旅館を滞在先に決める。
湯川と子供、という取り合わせに意外さを覚える人もいるだろう。
わざわざ時間を割いて子供の相手をしている湯川というのも、想像がしにくいかもしれない。
しかし、一旦かかわりを持ったあとは、湯川は驚くほど真摯に、恭平に接しようとするのである。
探偵ガリレオの、意外な一面を見た思いがする。
恭平に対して発された、湯川の言葉を聞いていただきたい。
「お金に繋がらないってところが。僕だったらやる気が出ないな。大体、理科って苦手なんだよね。あれって何か役に立つのかな。ねえ、科学の研究って楽しい?」
「この上なくね。君は科学の楽しさを知らないだけだ。この世は謎に満ちあふれている。ほんの些細な謎であっても、それを自分の力で解明できた時の歓びは、ほかの何物にもかえがたい」
恭平は、さまざまな理由が重なりあって、世の中に対してしらけた気持ちを持っている子供だ。
湯川は、彼に世界の真の姿を見せるため、科学者としての知識と能力を用いるのである。
ペットボトルと携帯電話を使って行った実験が、恭平のかたくなな心を溶かす。
一つの出会い、一つの発見が、誰かの人生を変える。
この世には、そうした魔法のような出来事が、ごくまれに起きうるのだ。
そうした場面を、作者は湯川学という偏屈な物理学者の存在に託して描いた。
〈探偵ガリレオ〉の名を世間に広く知らしめた第1長編『容疑者xの献身』(文春文庫)では、物語の背景に格差社会の現状が描かれていた。
本書でも同様に、この社会のありようが物語に大きく影響している。
海底資源開発をめぐり、玻璃ヶ浦の町は推進と反対の二派に分裂する。
その中では、理性的な話し合いができない雰囲気が高まっていくのだ。
極論と極論がぶつかりあう窮屈さは、わが国の現状をカリカチュアとして描いたもののようである。
本書の雑誌連載時にはまだ東日本大震災は起きておらず、原子力発電所の危険性も一般には意識されていなかった。
だが、3月11日以降に勃発した「安全」と「科学神話」を巡る論争が、私には本書で行われている議論に重なって見えた。
ミステリーとしての側面を紹介するのが遅くなった。
湯川が町に到着した日、住民を対象にした説明会が開催された。
そこにはなぜか、玻璃ヶ浦とは縁もゆかりもない人物が紛れ込んでいたのだ。
湯川と同じ旅館に投宿したその人物は、翌日変死体として発見される。
警察当局は事故死という見解を発表するが、塚原という死者の素性が意外なものであったことから事態が一変する。
彼は警視庁に属し、警視の階級にまで昇った元警察官だったのである。
その人物がなぜ、玻璃ヶ浦にやってきて命を落とすことになったのか。
警視庁内部の塚原をよく知る者から、捜査一課の刑事、草薙と内海に極秘裏の捜査指令が出た。
草薙は現地にいる湯川に連絡をとり、真相究明の依頼を行う。
一見結びつきそうにない出来事の間に存在する、見えない糸。
それを探っていくところに、『真夏の方程式』の謎解き小説としての醍醐味がある。
それに、過去の2長編と同様の、大胆なトリックによって不可思議な状況が作り出されるという、虚構の世界ならではの楽しみが加わるのだ。
小説としての美しさは、そうしたミステリーの仕掛けが、玻璃ヶ浦で起きている事態と深いところで密接に結びつけられている点にある。
恭平という年少の登場人物を配したこと、町が環境破壊という問題によって大きく揺らいでいること、そうした要素が、すべて真相に結びついていくのだ。
ミステリーとして優れているのと同時に、小説として豊かである。
楽しませてもらいました。
【杉江松恋】
WEB本の雑誌より
2011年06月05日
大阪 「還付金詐欺」被害多い
県民性から犯罪の傾向は読み取れるのだろうか。
犯罪社会学の第一人者である小宮信夫・立正大学教授は「大阪の詐欺犯罪には“大阪人”らしさが垣間見える」と指摘する。
「大阪では『オレオレ詐欺』の被害は非常に少ないのに『還付金詐欺』は多く発生したというので話題になりました。他人にお金を振り込むことには、“ほんまかいな”とツッコミを入れて被害を回避できても、他人からお金を貰えるという話には“すんまへんなァ、おおきに”と、つい油断してしまうのかもしれませんね」
また、優れた統率力を持つ偉人を輩出した都道府県には犯罪が少ないという説もある。
「民心を第一として禁欲的な生活を貫いた上杉謙信の新潟、金銭欲の卑しさや武士道の大切さを説く『獄中教育』を受けた西郷隆盛や大久保利通の鹿児島などが当てはまります。これは未熟な仮説ですが、彼らの時代から脈々と続く文化や、彼らのようになりたいという畏敬の念が、地域の結束力や青少年の向上心といった犯罪防止の要素をもたらしているのかもしれません」
ただし、殺人や強盗などの凶悪犯については、犯罪者の性格や感情、家族環境など「犯罪原因論」の面が大きく影響し、地域性が反映されにくいとされる。
「“A県には殺人が多い”“B県には放火が多い”とはいえません。凶悪犯罪者は確率論的にどこにでも存在します。ただし、『犯罪機会論』に基づく“犯罪が起こりにくい街づくり”は、今後、さらに重要性を増していくと思います」
NEWS ポストセブンより
2011年06月04日
発電するオルゴール
国内で唯一のオルゴール・ムーブメント(機械部分)メーカー「日本電産サンキョーオルゴール」(原村、八幡明宏社長)は、ぜんまいの力を利用して発電し、発光ダイオード(LED)を点灯させる世界初の新製品を開発した。
オルゴールの優しく透明な音色に、ファンタジックな光の演出を加え、癒やしの効果を増したエコなオルゴールとして、今月末から国内外のオルゴールメーカー向けに量産を開始する。
今回新しく開発した発電オルゴール「GENEGOL(ジェネゴール)」は、数色のLEDがオルゴールの音色とともに点滅する光ドームタイプの製品から生まれた。
これまでLEDは電池を使って光らせていたが、「GENEGOL」はムーブメントそのものに発電装置を組み込んだのが特徴だ。
3年前から県工業技術総合センター環境・情報技術部門(松本市)の支援を受けて発電部分の開発に着手した。
心臓部の発電装置は磁石とコイルからなり、ワンチップマイコンで演奏のスピードを決めるぜんまいの回転制御を行う。
今回、量産するのは最もポピュラーな振動板が18弁タイプのムーブメント。
出力できる電力は15㍉㍗で演奏と発光時間は約2分間。
ピンが植えられたドラム部分を替えることでさまざまな曲が演奏でき、マイコンのソフトウエアを変更することでLEDの光り方を演出できるほか、オルゴールの演奏スピードを変えることも可能だ。
また、LEDを点灯させるだけでなく、液晶を表示させたり効果音を鳴らすこともできるという。
販売目標は初年度5,000台、平成25年度以降は年間20万台。
同社は発電の原理を理解するための学校教材、より強力なぜんまいを利用した災害時などの緊急用照明としての需要も見込んでいるという。
産経新聞より
2011年06月03日
独自技術生かし農業参入
ものづくりを得意とする中小企業が農業に参入する動きが目立っている。
独自技術を応用して生産システムなどを開発。
人手不足や低収益に悩む農業現場からのニーズも高いという。
医療向け素材開発のメビオール(平塚市)は本年度から農業分野に本格参入した。
水たまりに張った特殊フィルムでトマトなどを栽培する「アイメック技術」を農家に販売している。
早稲田大学発のベンチャー企業。
再生医療に使われる人工膜の実用化を進めるが、認可に時間がかかるため農業分野に注目した。
人工膜の技術を応用。
特殊フィルムを土壌の代わりに使うことで作物の吸水効率を高めたという。
吉岡浩副社長は「必要以上に水を与えずに済むので、コスト削減にもつながる。用途も広い」と自信を示す。
高電圧の電源装置を手掛けるグリーンテクノ(川崎市高津区)は、電気刺激を与えてキノコ類の生産量を増やす装置「らいぞう」を4月に発売した。
「人工雷でシイタケを増産したい」と製作を依頼されたのがきっかけ。
大学の研究機関と実験を進めるうち、装置を使えば1~3割の増産につながることが分かった。
2年がかりで製品化した。
全国の農家から月10件のペースで問い合わせが寄せられ、うち半分は成約しているという。
田中實社長は「ニッチな分野だけに競合製品が出ていない。会社の新たな収益源になる」と期待する。
カナロコより