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2011年05月08日

手作り「発電所」

東日本大震災の発生により、首都圏でも電力不足の不安を抱える中、電力の“地産地消”を目指した取り組みが相模原市緑区で行われている。

旧津久井郡の豊かな自然環境の中で、地元住民の有志が自然エネルギーを生かした手作りの「発電所」を開設。

生み出した電気は農作業用機器の動力などに活用している。

住民たちは「地域でつくった電気を、地域のために生かしたい」と意気込んでいる。

取り組んでいるのは、大手電機メーカーの元エンジニア奈良義郎さん(57)を中心に集まった同区長竹地区の住民有志による「串川発電倶楽部(くらぶ)」。

市が2008年度に同地区で行った小水力発電の実地調査を機に関心を高めたメンバー約20人が「自然エネルギー発電の担い手として、自分たちができることを始めたい」と立ち上がった。

調査に携わった大学教授を訪ねたり、他地域の事例を視察するなど独学で勉強を重ねた。
水力発電は時間的な問題などもあってひとまず断念。
風力、人力、太陽光を活用した発電システムの確立に挑戦した。

直径約60㌢の米国製風車と太陽光パネル3枚を商社から購入。
太陽光パネルは農作業小屋の屋根に設置し、風車は小屋脇に建てた高さ約3.5㍍の鉄柱に取り付けた。

改造した自転車に軽自動車用のダイナモ(発電機)をつなぎ、ペダルをこいで電気を生み出す人力発電機も開発。

自動車整備工場や鉄工所などに勤めるメンバーが自分たちの特技を生かし、「試行錯誤を楽しみながら」半年弱かけてトタン造りの小屋を改築。

2010年3月、茶畑などが広がる農地に「長竹自然力発電所」を開設した。
総工費は約80万円で、一部は市の交付金を充てた。

発電した電気は、最大1.3㌔㍗蓄電できるバッテリーにためる。
畑仕事で使う草刈り機などの動力として活用するほか、畑に発光ダイオード(LED)電球を設置し、夜間の農地を彩るイルミネーションを行っている。

条件が整えば最大850㍗発電できる仕組み。
今後は、水力発電への挑戦のほか「暗くて危ない通学路に防犯灯を設置し、つくった電気で地域を明るくしたい」と夢を膨らませる。

奈良さんは、原子力発電所などの大規模施設に電力供給を頼る現状から、将来的には分散型の供給体制に移行すると予測。
「倶楽部の活動が、電力の“地産地消”への理解や促進に向けた第一歩になれば」と話している。

カナロコより

投稿者 trim : 2011年05月08日 18:09