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2011年03月07日

チップ制トイレ定着

自然環境保護や観光地内の施設維持のため、神奈川県秦野市が2007年から登山道やハイキングコース沿いの公衆トイレに導入した利用者の「チップ制」。

現在4カ所で実施され、チップを投入する「山のトイレチップ塔」に入る金額が順調に推移している。

今月中旬には5基目を設置する予定で、市は「観光地をきれいに大事に、という機運が高まっているのでは」と話している。

市が最初に導入したのは、丹沢大山国定公園内のヤビツ峠近くに県が設置し、市が維持管理する「寺山富士見橋公衆トイレ」。

2007年8月、浄化槽式水洗トイレに改修したのを機にチップ塔を置いた。


塔は高さ1㍍、直径22㌢の鉄製で、緑色に塗られている。
上部に投入口、裏側下部には回収口がある。
施設の維持管理費に充てることを目的に、1回50円を目安にした。
登山者など利用者の理解を深めようと、塔の脇には趣旨と金額の目安を記した看板を掲示している。

市によると、トイレの維持管理費は当時、年間5万円ほどがかかっていたという。
チップによって、トイレットペーパーや洗剤などの費用が捻出でき「山のトイレは汚い」という声を払拭(ふっしょく)しつつあるという。

現在はヤビツ峠、弘法山馬場道、震生湖の登山道やハイキングコース沿いの4基。
いずれも浄化槽式の水洗で、市が管理し、週1回委託業者が巡回して清掃、トイレットペーパーの補給などを行い、冬場には凍結による破損の修理も実施している。

チップ塔の設置に際しては「投入する人は少ないだろう」「山の中だけに、破壊や盗難の心配がある」といった声もあった。
事実、塔の破壊はこれまでに3回あった。
いずれも2009年中で被害金額は不明だが、回収口の鍵を特殊なものに改修して以後は、被害はなくなった。

チップの回収は2週間に1回。
十円玉や百円玉が多く、中には千円札も交ざるという。
1基あたり年間約8万~約19万円の投入が記録されている。

4基合わせてこれまでに約120万円の投入があったという。
市観光課は「毎月同じような金額が入っている。
利用者の気持ちが金額に表れている」と話す。

市は今後、3月中旬に同市羽根の人気スポット・菜の花台に置くほか、年度内にさらにハイカーなどが多く訪れる公衆トイレにチップ塔の設置を計画している。
同課の北村徹課長は「受益者負担の感覚が浸透してきているのだろう。また、利用者もきれいなトイレを使うことで、マナーの向上につながっている」と話す。

カナロコより

投稿者 trim : 2011年03月07日 16:37