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2011年03月05日

ペットボトル“軽量化バトル”

サントリーがペットボトルの軽量化を加速している。

サントリー食品インターナショナルは今月8日、ミネラルウオーター「サントリー天然水」の容器を、環境負荷の軽減を実現した独自のペットボトルにリニューアルする。

飲料の需要が大容量化する傾向をにらみ、容量を500㍉㍑から550㍉㍑に増量しながら、軽量化を図り、飲用後の捨てやすさも追求したボトルを開発した。

開発した「P-ecot(ペコッと)ボトル」は、「Pet」と「eco」を組み合わせた造語。
ボトルを“ペコッと”平たくし、ボトルの溝に沿って2つに折り曲げることで廃棄しやすく、ごみの輸送費なども軽減できる。
ボトル本体の重さも薄型化を図るなどでこれまでの25~21.4㌘から、13.5㌘と大幅に軽量化。
キャップも3.2㌘から2.1㌘とした。
これらによって現在の出荷量をベースとした場合、製造時と輸送時の総計で年間約7,600㌧の二酸化炭素(CO2)削減が見込めるという。

新ボトルの開発には1年半をかけたが、特にこだわったのが強度とデザインの両立だ。
建築資材や旅行かばんに用いられる技術で、素材表面に凹凸をつけて強度を高める特殊リブ構造をボトル上部に採用。
ボトル下部には特殊なバネ構造を採用することで、上部と側面からの加重に耐えられるようにした。

同時に、ボトル全体に氷の形状をイメージしたデザインを施し、天然水の新鮮なイメージも打ち出した。

軽量化技術などの原型となったのが、開発に2年をかけ、昨年3月から導入している「天然水」の2㍑ペットボトルだ。
2㍑ボトルの場合、白州工場(山梨県北杜市)でボトルの原料となるレジンという樹脂を試験管状(プリフォーム)に成型し、各工場へ搬送後、2㍑サイズに加工する。
開発では20種類以上の金型をつくり、自社プラントで試作を100回以上繰り返した。

ボトルの上面と下面を薄くし、つぶしやすくすると同時に、注ぐ際に指でしっかりペットボトルを握れるよう、指スポットの深さを従来の倍の6㍉にするなど、感覚的に握りやすい独自の設計を施した。

2㍑ボトルはそれまでの47㌘から、2008年に40㌘、昨年は36㌘と業界最軽量(当時)を実現し、昨年からはプリフォームからの加工をすべて自社で行っている。
2㍑ボトルについては今後、緑茶の「伊右衛門」などにも導入する予定だ。

2㍑と550㍉㍑の2種類のペットボトル開発のための設備投資は約43億円かかった。
技術的にはボトルの軽量化をさらに進めることも可能だが、新包材技術開発推進部の高田宗彦部長は今回の550㍉㍑ボトルについて「開発はエコとお客さまの使い勝手の両立が前提だった」と話す。

サントリーの環境配慮はボトルだけではない。
「天然水」の2㍑ボトルで昨年9月から導入している18マイクロ㍍(1マイクロは1000分の1㍉)という極薄の商品ラベルについても、自社グループ内でペット樹脂へのリサイクルを進める。
ペットボトルを製造する際に出る規格外のプリフォームを商品ラベルの原料に採用。
現在、商品ラベルの約6割がリサイクルされたもので、自社でペット樹脂のリサイクルを行うのは清涼飲料業界でも初めてという。

サントリーホールディング(HD)はこれまで、生産工程で使用する水の再利用・循環利用技術の導入や、白州工場で業界最大規模の太陽光発電を活用するなどCO22の削減を実施。
奥大山ブナの森工場(鳥取県江府町)、九州熊本工場(熊本県嘉島町)など採水地全体の森林保全活動にも力を入れ、グループ全体で環境負荷を減らす取り組みを行っており、ペットボトルの軽量化もこの一環だ。

産経新聞より

投稿者 trim : 2011年03月05日 18:17