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2011年02月28日
「着地型エコツアー」
旅の目的地(到着地)に所在するエコツアー会社が企画する「着地型商品」を拡大する動きが活発化している。">
長野県軽井沢町を活動拠点とする企業が4月から女性顧客層の開拓に乗り出すほか、滋賀県の観光資源を生かしたツアー開発会社は着地型商品情報サイトを3月以降に開設する。
自然保護意識を高める動きを地域から巻き起こしたい考えだ。
「自然を心から愛するガイド役の姿勢に感動した」
2010年8月。
出版関連の仕事に就く40代男性会社員が横浜市から家族3人で、生き物の営みに触れる着地型エコツアーに参加した際の感想だ。
訪れたのは、日本有数の野鳥生息地「軽井沢野鳥の森」。
その会社員は、オタマジャクシやトンボなどを観察し熱く語る案内人に引き寄せられた。
ツアーを企画したのは軽井沢町で自然ガイド事業を行う「ピッキオ」だ。
同社の楠部真也取締役は「顧客満足度を上げられる着地型ツアーを追求しリピーターを増やしたい」と話す。
同社が4月下旬から展開するのが、東南アジアから渡来する青い羽のオオルリなどを軽井沢で探す企画「幸せの青い鳥ウォッチング」だ。
若い女性を意識して開発したという。
同社がこの5年間に企画したエコツアーの数は約100種。
隠れた軽井沢の魅力を発掘し続けた結果で、種類の多さが着地型の特徴だ。
大都市の旅行会社などが出発地で仕込む「発地型」パック旅行とはひと味違うのが特徴だ。
滋賀県の「地域観光プロデュースセンター」(大津市)は、3月にも着地型ツアー情報を発信するウエブサイト「ディスカバー滋賀」(仮称)を立ち上げる。
サイトでは着地型商品の募集情報を提供。
発地型旅行会社や独自プランにこだわる一般消費者などのニーズを集める受け皿もつくる。
例えば、着地型エコツアーのモデルプランをサイト上に複数提示。
それを閲覧し興味を示した東京などの旅行会社が同センターに商品企画を依頼する形を想定している。
同センターは、JTBを55歳で退職した吉見精二氏が「地域と一緒に地元の宝(観光資源)を生かした着地型商品をつくりたい」との思いを強めて2004年に設立した。
吉見代表は「着地型は地域の自然だけでなく、そこに暮らす人々や文化に触れることも大切にしたツアーだ」と力説する。
これを全国の観光客に伝え、地域活性化と環境保全の両立につなげたいと願う。
両社がエコツアーの提案で知恵を絞る背景には、ツアーの認知度の低さがある。
日本エコツーリズム協会が首都圏在住の約500人を対象に消費者調査を行ったところ、「エコツアーに参加したい」と答えた人の割合は2005年調査で21.8%。
これが2009年には14.6%まで落ち込んだ。
エコツアーが認知されていないことやPR不足が要因だ。
2008年施行のエコツーリズム推進法は、「自然観光資源の保護に配慮しながら資源に触れ合い学び知る活動」を“エコツーリズム”と定義する。
しかし、この考えに沿って着地型エコツアーを企画しても、単なるごみ拾いやエコカー巡りと同一に見られがちなのが現状だ。
こうした中、エコツーリズム推進方策のあり方を探る環境省主催の有識者検討会が今月14日にスタートした。
政府の事業仕分けで推進予算の計上見送りとなったことを受けた。
これを機に同省は「質の高いエコツーリズムの推進に向けた課題を整理し国の役割を示す」(自然ふれあい推進室)考えだ。
同省のエコツアー紹介サイトには700超の関連事業者が登録しているが、地域企業の多くが集客に必要な宣伝費を捻出できずビジネスで苦戦しているのが実情。
“良質”なツアーを地域に眠らせないためにも、国の主導力が求められている。
【臼井慎太郎】
フジサンケイ ビジネスアイより
投稿者 trim : 2011年02月28日 22:37