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2011年02月18日

「工場夜景」

臨海部で昼夜を問わず稼働し、日本の経済発展を支えてきた川崎市臨海部の工場群の夜景が、観光資源として注目を集めている。

市などは今月、工場夜景のホームページ(HP)を作成。

23日には同様の夜景がある全国の工業都市4市が参加する初めての「全国工場夜景サミット」も開催し、新たな魅力の発信に力を入れている。


石油コンビナートや製鉄所など、川崎市川崎区の臨海部にある工場群は夜間も稼働を続け、照明や炎を吹き上げる様子が闇に浮かび上がって幻想的な雰囲気に包まれる。

同市の臨海部は明治時代から埋め立てが始まり、京浜工業地帯の中心として日本の重化学工業をリードした。
一方、市内はベッドタウンとして発展した内陸部も含め、従来の観光資源とされた自然や郷土食、寺社仏閣などに乏しかった。

「川崎の強みを生かした観光を」と、市と川崎商工会議所を中心に2005年、川崎産業観光振興協議会が発足。
公害イメージもあった工場だが、実際には環境技術で最先端の設備が整い、世界中から見学者は絶えない。
「工場を誇り、自慢にしよう」と発想を転換し、工場夜景の街として発信することを決めた。

ただ、多くの工場は元々、部外者に見せる設計ではないため、観光地化するには課題も多かった。

安全な見学ルートやパンフレットの作成、ガイドを付ける必要もあった上、市担当者らが「環境への配慮や安全性を見せてほしい」と説得を重ね、協力する工場が徐々に増えていった。

2008年から、一般には入れない臨海部の建物屋上から工場群を眺めたり、富士通川崎工場、JFEスチール東日本製鉄所などの工場を見学する「川崎産業観光ツアー」を市が中心となって設定。

旅行業者が月1回、参加費数千円でツアーを募集したところ、いずれも即日に申し込みが締め切られるほど人気を博している。
参加者からは「間近に見ると迫力がある」「非日常的な光景に圧倒された」と反響は大きかった。

川崎市商業観光課の小沢正勝さんは「最初は不安もあったが、予想以上の反響。当たり前のように見ていた工場の夜景がこんなに人気を呼ぶとは」と話す。
夜景観光と関連した市民ガイドの養成や川崎産業観光検定試験の取り組みも順調に継続している。

23日には川崎市の呼びかけで、工場夜景の観光に取り組む北海道室蘭市、三重県四日市市、北九州市の関係者らが参加する「全国工場夜景サミット」を開催。
各地域の取り組みの報告会やパネルディスカッションが行われる。
小沢さんは「4地域が連携して相互にPR、地域振興に役立てたい」と話し、来年以降は持ち回りで開催する予定という。

夜景のHP「川崎工場夜景」は市観光協会連合会のHPからアクセスできる。
【山田麻未】


毎日新聞より

投稿者 trim : 2011年02月18日 22:46