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2010年11月20日

クラゲで砂漠緑化

クラゲで砂漠を緑にしたい――。

大分県立海洋科学高(臼杵市)の海洋生産科がそんな珍しい研究に取り組んでいる。

校舎屋上に設けた「模擬砂漠」には今夏、ツタがしっかり根付いた。

研究を主導する3年の吉田綾汰さん(18)は「クラゲが将来の地球を救う存在になってほしい」と願う。


学校近くの海辺には、夏場になると大量のミズクラゲが押し寄せる。
発電所の冷却水取水口を詰まらせたり、漁業の支障になるなど、厄介者扱いされるクラゲだが、浜に打ち上げられても乾燥することなく、長期間ブヨブヨのままだ。

姿を見た吉田さんと川野太郎さん、丸山晃司さん(いずれも3年)は「この保水力の高さを生かせるのではないか」と砂漠緑化への活用を思い立った。

クラゲをつぶして粘液状にし、砂漠に見立てたプランター内で砂と混ぜ合わせた。
クラゲ粘液と砂の割合を変えながら試したところ、粘液を砂の3割にし1週間たった砂が植物の生育に最適の土壌湿度になることが分かった。
屋上の日照りの下でも2週間程度は維持できた。

土壌の酸性化を防ぐため、消石灰を混ぜたため、ツタは枯れることなく、現在も青々としている。
3人は「クラゲの肥料としての効果も生育状況から突き止めたい」と意欲満々で語る。

クラゲ研究を指導した佐藤誠教諭は「生徒の豊かな発想で始まった。粘液には塩分も含まれているが、ガジュマル、アロエ、ソテツなど塩害に強い植物を選べば、自然に優しく、有効な保水材や肥料としてめどが立つ。後輩も研究を引き継いでほしい」と話す。

吉田さんらは12月3日に東京である「全国水産・海洋系高校生徒研究発表大会」で九州代表として成果を披露する。
【梅山崇】


毎日新聞より

投稿者 trim : 2010年11月20日 17:42