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2010年11月16日

はやぶさ 人類初の快挙

7年間に及ぶ探査機「はやぶさ」の旅は、通信途絶やエンジン故障など数々のトラブルの連続だった。

そのたびに研究者や技術者が知恵を絞って打開策を編み出した。

今回の成果は、月より遠い天体を往復する技術に加え、さらなる人類初の快挙となった。


はやぶさの分析チームは今年6月、特設の密閉実験室でカプセルを慎重に開封したが、中の試料容器には光学顕微鏡で見えるものがほとんどなく、見える粒子の大半は容器から出たアルミ片と判明。
関係者には一時「何も入っていなかったか」と失望が広がった。

チームは特注のヘラで容器の内壁をこすり、ヘラごと電子顕微鏡で観察する新手法を開発。
極めて小さい微粒子が多数あることを確認できた。

今回入手した試料は、地球環境の影響を受けておらず、米アポロ計画の「月の石」に匹敵する貴重なものだ。
詳しい分析によって、太陽系の歴史を塗り替える科学上の発見が期待される。
微粒子の一部は国内外の研究者に公募で提供される予定で、日本の成果が世界の科学研究に貢献するかたちとなる。

文部科学省とJAXAは後継機「はやぶさ2」を計画中だ。
生命の存在を示す有機物があると予想される小惑星に向け、2014年度の打ち上げを目指す。
今回実証された技術をどう「次」に生かすか。
政治の判断が試される。
【山田大輔】


毎日新聞より

投稿者 trim : 2010年11月16日 18:43