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2010年10月30日

エコで低価格の一石二鳥

日本法人が国内で5店舗を展開しているスウェーデン発祥の家具大手のイケア。

同社が目指しているのは「持続可能な環境への取り組み」と、原材料から製品の開発、輸送、消費者への販売に至るまであらゆる面で二酸化炭素(CO2)削減などに取り組むことだ。

そうした取り組みや無駄の削減が、同社の低価格製品にも役立っている。


環境配慮の代表例が「ローディング・レッジ」と呼ばれるイケアが特許を持つ荷台だ。

従来の木製パレット台とは異なり、荷物のサイズに合わせて広げたり縮めたりできる。
ポリプロピレン製プラスチックでできているので、荷台が傷んでもリサイクルして作り直すことも可能だ。
コンテナやフォークリフトに合わせて形を自在に変えられるほか、軽量のため木製パレットに比べコンテナには2㌧も多く荷物を積めるのも長所だ。


また、ローディング・レッジに載せられる荷物は「フラットパック」と呼ばれる段ボールに入れられる。

ローディング・レッジとの組み合わせで、輸送時に商品の積載量を最適化できる。
イケアのアジア地区社会・環境部門のリン・ウァンマネジャーによると、「無駄な空気を運ばない」ことがCO2削減の大きな要因となるため、この商品積載量の最適化が大いに役立っているという。

ウァンマネジャーは、「イケアは常に最小限の資源でできる商品をデザイン、開発している」という。
そのために、製品を供給するまでのパートナーにもCO2削減などを求めており、「製品サイクルの最初から最後までをみている」という。
原料段階では、主要原料の一つである綿花のプランテーション(大規模農園)で使用される水の量を減らすなど天然資源の消費削減にも取り組んでいる。


原材料を少なくし、本来なら捨てられる部分も原材料として活用することは、環境への貢献だけでなく、商品の低価格化にも役立っている。

例えば、同社のラックサイドテーブルは、丈夫で硬い木質フレームの中に、正六角形や正六角柱をくまなく並べたハチの巣のような「ハニカム構造」で再生紙を詰めている。
使用する原材料が少なくなるほか、商品全体が軽量になることで、輸送の際のCO2削減にもつながっている。

同社が店舗展開する国の主力輸送手段は陸上輸送で、その任を担うのは主にトラックとなるが、「イケアはこれも業者任せにするのではなく、排ガスを少なくするよう年代の新しいトラックを使うという厳格な規定がある」という。


これらの取り組みで、イケアグループが排出するCO2の量は、2009年には約122万㌧と前年の128万㌧から減少した。

2006年から2008年にかけては増加しているものの、これは店舗や物流センター、オフィスなどが世界的に広がっているためだ。
ただ、イケア関連の建物や商品輸送などで生じたCO2を、1立方㍍当たりの空間から出るものとして換算すると、その排出量は2006年の59㌔㌘から、2009年には53㌔㌘に削減されている。

このほかにも、店舗を風力発電などのクリーンエネルギーを使ったものに変えていくなど、挑戦は続く。

ウァンマネジャーは、「進化を続けながら取り組みを持続させることが大事だ」と指摘。
この「終わりなき取り組み」をイケア自身だけでなく、「原料供給や輸送を行うパートナーなどと意識を共有して続けていくことが最良の解決策だ」としている。
【兼松康】

産経新聞より

投稿者 trim : 2010年10月30日 17:03