« 「横浜カーフリーデー」 | メイン | 空席”リユース” »
2010年09月24日
地方アイドル活性化
東京の流行を追い掛けるのでなく、地方独自の発信を――と各方面で叫ばれている昨今。
アイドル業界でもそんな気運が高まっている。
北海道から沖縄まで、地元を拠点に活動する地方アイドルたちの活況に大きな注目が集まる。
大都市圏以外の地域でアイドルグループが増えてきたのは、2000年代始めから。
先駆けとなったのは、
りんごを始め青森の特産品PRのために結成された「りんご娘」、
山形県酒田市で商店街の活性化に向けて活動した「SHIP」、
新潟名産のやわ肌ねぎPRキャンペーンから生まれた「Negicco(ねぎっこ)」など。
どのグループも地元産業の宣伝や町おこしといったビジネスと直結する側面を持っていた。
Negiccoをマネジメントする越後屋本舗クリエーターズの熊倉維仁氏は「商店街のイベントに出演すれば、かなりの集客がありますし、新潟市の中心街である“古町”にかけて「星の“降る町”」というフレーズを入れた曲がメディアに取り上げられたこともありました」と、地域活性化に寄与した成果を挙げる。
シーンに転機を生んだのは、広島の地方アイドルだった「ぱふゅ~む」。
2003年にPerfumeとして東京に進出し、後に大ブレイクする彼女たちは、単なるローカルタレントでなく純粋なアイドル予備軍としての地方アイドルのポテンシャルを証明した。
最近の例で言えば、今年の8月に、東京・品川で「TOKYO IDOL FESTIVAL2010」が開催。
メジャーグループから地方を拠点に活動するグループまで、30組以上が出演したことで注目された。
従来型の地域振興のためのアイドルスタイルの活用から、地方発のアイドル活動そのものが、新たな“地域ビジネスモデル”として目を向けられ始めたのだ。
そんなシーンに、いち早く注目したのがテレビ業界だろう。
キー局すら不況のあおりで広告収入が激減し、映画制作やイベント、不動産業に至るまで放送外収入に力を入れているが、ローカル局に至っては、その現状は一層厳しさを帯びている。
そんな中、テレビ新広島では、前出のPerfumeや現在の地方アイドル界で有数の人気を持つ「まなみのりさ」を生んだアクターズスクール広島を全面バックアップし、放送外収入としてのアイドル育成に積極的に取り組んでいる。
このような状況を、まなみのりさが所属するポニーキャニオン ミュージック 取締役 河野素彦氏は、以下のように語る。
「地方局が放送外収入を強化するために、地元密着のローカルアイドルを育成していこうという流れはあると思います。はじめから全国展開させるには、ある程度の資本が必要ですし、関係者の範囲も広くなる。そうなるとトライアルの数は限られます。でも、地方の活動からスタートすれば身軽に活動できます」
イベントなら100人集客できれば、物販などと合わせてビジネスとして成立できてしまうという地方アイドルの活動。
その点で「シンガー・ソングライターなどより、アイドルの方が成功させやすい」(河野氏)とも。
加えて、熊倉氏は「地方だと広告宣伝費が東京より安く済む」とメリットも挙げる。
ネット環境のインフラが広く普及したことも、地方アイドルの活動に多くの恩恵をもたらした。
「楽曲の発注からアートワークに至るまで、パソコンでデータをやり取りして進めるので、東京でも地方でも同じクオリティの作品ができます」と河野氏が言うように、変わらない環境で制作をすすめることができる。
またネット環境の普及は、プロモーションにおいても効果を発揮。
Perfumeも独特のダンスが動画サイトに大量投稿されたのがブレイクの一因となったが、地方アイドルも地元にいながら、ネットから他エリアにファンを広げることが可能に。
実際、まなみのりさのイベントには福岡などから駆け付けるファンもおり、2009年9月発売のシングル「Possibility」は広島での発売にも関わらず、オリコン週間インディーズランキングで8位を記録している(09/10/5 付)。
AKB48などをはじめとする女性アイドルの人気に加え、「地方文化」への注目で、一躍盛り上がる地方アイドルシーン。地方局を救う新たなビジネスモデルとしての役割にかかる期待は大きく、今後もさらなる拡大を見せるに違いない。
ORICON BiZより
投稿者 trim : 2010年09月24日 19:42