« 土砂対策、支援拡充を | メイン | 吉川小で庭園造り »

2010年08月21日

閉園施設を植物工場で再利用へ

農作物の安定供給などの観点から、野菜などを計画的に生産できる「植物工場」が注目を浴びる中、京都府立大と府立医科大を運営する京都府公立大学法人が、経営難で昨年閉園した植物公園「花空間けいはんな」(同府精華町)を再利用し、研究用の植物工場を造るプロジェクトに乗り出す。

府の土地と建物を生かし、企業を招致してプラントを整備する産官学連携の取り組み。

自然栽培の作物よりも豊富に栄養素を含む作物の栽培システムなどを研究する予定で、来春のオープンを目指す。


「花空間けいはんな」は平成17年に開園したが、入園者の減少などで昨年3月、約5,400万円の赤字を抱えて閉園。

約7万平方㍍の敷地のうち、広場や展望台などは今も公開されているが、建物などは使われないままになっている。

京都府立大は、同園の隣接地に農場を持っており、その縁もあって再利用に名乗りをあげた。


計画によると、植物工場には鉄筋コンクリート建ての旧イベント会場(約1,200平方㍍)を利用。

空調設備会社や電子機器会社などと協力し、自動で空気中の酸素や一酸化炭素の比率を調節する機器や発光ダイオード(LED)ライト、栄養素を豊富に含んだ培養溶液などの設備を整える。

京都、大阪、奈良にまたがる関西文化学術研究都市にあることから、3府県の企業を対象に招致する予定で、すでに数社と調整中。

企業側にも、より高性能な機器の研究・開発ができるメリットがある。

予算は約3億円で、国や京都府の補助金などで賄う予定。
府立大農学生命科学科などの職員と企業側の研究者が共同で使う研究室なども整備する。
今年秋ごろに着工し、来年4月のオープンを目指す。

府立大は、低コストで栄養価の高い野菜の栽培システムの確立を図る方針で、具体的にどんな野菜を作るかは今後検討する。
竹葉剛学長は「産官学が一致団結して研究し、さまざまな問題点の改善を目指す。
2~3年をめどに研究結果をあげ、けいはんなの企業や農家の人々に利益を還元したい」と話している。

【植物工場】
人工的に光や温度、空気中の酸素濃度などを調節し、計画的に作物を育てる施設。
太陽光を利用する「太陽光利用型」と利用しない「完全人工光型」に大別される。
複数のLEDライトを組み合わせて光を当てることで、通常よりも栄養価の高い野菜の栽培例も報告されている一方、採算性などに課題も残る。
大阪府立大学(堺市)や食品メーカー「カゴメ」(名古屋市)が運営する工場など、国内に数十カ所あるという。

産経新聞より

投稿者 trim : 2010年08月21日 17:52