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2010年08月08日

「レンタル牛の放牧」

農家の高齢化や過疎化で耕作をやめ、放置したままの畑は雑草が伸び放題。
畑に復元しようと考えたところで、人の背丈以上に伸びた草木を人力で刈り取るのはたいへんな作業だ。
だが牛1頭1日約40㌔㌘という草食力を利用すると、難なく雑草が処理できる。

山梨県内でも農地の15%に当たる約3,200㌶が耕作放棄地となり、農業生産力の落ち込みを招いている。

そこで雑草処理手法として注目される“レンタル牛のモデル放牧”が甲府市右左口と山梨市牧丘町北原で始まった。

農家にとって省力かつ安価で畑によみがえらせることができるが、そればかりか、意外な効果もあるようだ。


放牧には和牛の繁殖雌牛が適して、特に4歳以上の母牛は性格がおとなしく、力の弱い女性にも扱うことができるという。

両地区に今回は県営八ケ岳牧場から妊娠中の雌牛4頭を借り受け、2頭ずつを放した。

県西部家畜保健衛生所の桜井和巳所長によると、手間は毎日、牛の健康状態、水、食用塩の残量を確認する程度。
放牧地周囲には牛が逃げ出さないよう電気牧柵を設置した。

放牧は10月下旬まで続けるが、牛に効率よく食草してもらうため月約3,000平方㍍ずつ輪換放牧する。

牛を放牧する場合、対象地を2~3区画に区切り、ローテーションを組み放牧すると効果がいい。
広いままだと、牛が踏んだりふん尿がついたりした草を食べず、効果が低くなるからだ。


一方、耕作放棄地があると周辺でサルやイノシシ、シカなどの獣害が起きる。

放棄地が獣の隠れ場となるうえ、残された果樹があると獣を呼び込むことになってしまう。
桜井所長は「雑草を牛が食べることで見通しがよくなり、警戒心が強い獣がこなくなる」と話す。
イノシシはクズの根が好物。
だが牛もクズが好き。
必然的に獣害を抑制する結果をつくるようだ。


耕作放棄地を活用した肉用牛の放牧は、農水省近畿農政局管内で盛んに行われている。
これまでの効果として、農地の復元だけでなく景観保全、地域農業の活性化に加え中山間地域の活性化、さらには畜産農家にとって餌代がかからないというメリットもある。

山梨県内でも行われていたが、畜産農家が近隣の耕作放棄地を借りて放牧しているだけ。
県では畜産とは無縁の農家がレンタル放牧による耕作放棄地解消が可能な体制を構築する考え。


今回の2地区に加え、さらに週明けからは富士山麓(さんろく)など2地区でモデル放牧を予定。
手間のかからない田畑の復元方法として農家を対象に研修会を開き放牧効果を確認してもらい、耕作放棄地を田畑に復元することで農家の生産意欲を高めたい狙いがある。

産経新聞より

投稿者 trim : 2010年08月08日 21:07