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2010年07月22日

熱中症相次ぐ

本格的な夏の到来で厳しい暑さが続き、熱中症とみられる症状を訴える人が相次ぎ、各地で死者も出ている。

熱中症は炎天下での激しい運動時だけでなく、屋内でも発症することがある。

特に暑さに対する感覚が鈍いお年寄りは注意が必要だ。

暑さへの認識を高める工夫をしたり、こまめに水分補給するなど普段からの予防が求められている。

総務省消防庁の熱中症による救急搬送状況(合計速報値)によると、今年5月31日から7月11日までに3,764人が熱中症のために救急搬送された。
このうち7人が死亡し、108人が重症と診断された。


週ごとの推移を見ると、
▽5月31日~6月6日が256人
▽6月7~13日が363人
▽6月14~20日が552人
▽6月21~27日が568人
―と徐々に増え、6月28日~7月4日の週には1,185人と急増。
翌週は840人と微減したものの、暑さが本格化するにつれ、搬送人数が増えている。

熱中症に詳しい研究者でつくる「熱中症予防研究会」も暑い日は特に注意するよう呼びかけている。
熱中症というと炎天下で激しい運動をして起こると考えがちだが、室内でもなることがあるため、暑い日は無理をしないようにするのが大事だという。

予防するためには服装や水分補給に気を配りたい。
汗をよく吸収したり、通気性の良い素材を使った衣服を着用するほか、屋外では帽子を着用する。
脱水状態にならないためには、スポーツドリンクや0.1~0.2%の食塩を含む飲料が望ましいとされる。

熱中症は二日酔いや睡眠不足、風邪気味など体調の悪いときになりやすい。

特に注意を心がけたいのが、お年寄りだ。
その理由として、同研究会のメンバーの一人、京都女子大学家政学部の中井誠一教授(運動生理学)は「のどが渇いた感覚など、暑さに対する感覚が鈍いから」と説明する。

お年寄りが気をつけるポイントについて、中井教授は「身近に温度計を設置して暑さに対する認識を高めたり、暑さに慣れるために散歩など1日の生活パターンを決めたりしておくのがよい」と、日常生活での工夫を提案する。

また、お年寄りは水分摂取量が少ないため、飲んだ量が一目で分かるよう、ペットボトルなどを個人専用にすることを薦める。
お年寄り自身だけでなく、家族がお年寄りの着衣に気を配るなど周囲のサポートも必要という。

軽症と思っても急変して重症につながりかねない熱中症。
高体温(40度以上)と、名前を呼んでも答えない、言動がおかしいなど意識障害が見られる際には病院に行くのが望ましい。
東京消防庁では、救急車を呼んだほうがよいのかなどに迷った際の相談窓口「東京消防庁救急相談センター」(♯7119)を設けている。
こうした公的相談機関を使うのも一つの手だ。


【用語解説】熱中症

気温や湿度の高い環境で体温の調節がうまくできずに起こる暑熱(しょねつ)障害の総称。
熱けいれん、熱疲労、熱失神、熱射病などに分かれ、症状が重いと命にかかわることもある。

気温が高い日や湿度の高い日に起きやすいとされているが、熱中症を起こしやすい目安の一つとして、気温や湿度、輻射(ふくしゃ)熱の3つを取り入れた指標「暑さ指数(WBGT)」がある。
環境省の「熱中症予防情報サイト」では全国各地の当日と翌日の暑さ指数などを紹介している。
【森本昌彦、道丸摩耶】


産経新聞より

投稿者 trim : 2010年07月22日 10:35