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2010年07月20日
学校に「畑」
産地は「小学校」―。
食や農業への理解を深めるため、給食に地元産の食材を使う食育が広がる中、校内に“本格的な”畑を作る動きが出てきた。
米国で広がる「エディブル・スクールヤード(食べられる校庭)」の日本版だ。
食育の推進で、学校がますます食生活の学びの場として脚光を浴びそうだ。
「うわぁ、おっきい」
直径が3㌢近くもあり、スーパーの棚で見るより太いキュウリや、赤いトマトを摘みながら児童がはしゃぐ。
都会のど真ん中にある東京・新宿区立愛日(あいじつ)小学校の屋上にある約19平方㍍の畑には、ナス、サニーレタス、トマト、かぼちゃなど9種類の野菜が育つ。
「食の検定協会」(千代田区)が都内の4小学校に支援して設けた畑の一つ。
今月1日には6年生46人がトマト、ナス、キュウリなどの夏野菜を収穫した。
害虫を手で取り除いたり、肥料を与えたりするのは、週1、2回来るボランティアが担う。
この日、ジャガイモの葉の上を飛ぶモンシロチョウを「キレイ」と追う女子児童に、男性ボランティアが「葉に卵を産みに来たんだ。幼虫は害虫。この前は何十匹も手でつまみ、手間がかかったんだよ」と語りかけた。
大人が腰を折って手入れする姿にふれ、スーパーにはないユニークな形の野菜を見たり、収穫で野菜についた泥を流したり。
畑を囲んで、児童は農の苦労や喜びを自然と学ぶ。
「野菜を育てる大変さを知れば、農業を支えようという意識が育つ。身近に農業にふれあう環境を作り、関心が向けば日本の食料自給率アップにもつながる」と同協会の内田啓祐(けいすけ)代表理事。
収穫した野菜は家庭科の時間に一流ホテルのシェフと一緒にサラダなどに調理し、給食時に食べた。
「苦手だった野菜も時間と愛情をかけて育つことを知り、食べるようになった」と6年生の小川桃子さん(12)。
長岡富美子(ふみこ)校長は、この菜園を「何げなく食べてきた野菜を育てるのに100人の手がかかると知る学びの場」と位置付ける。
『食育菜園 エディブル・スクールヤード』(家の光協会)の翻訳・編集者で菜園教育に詳しい堀口博子さんは、菜園教育の良さを「学んだことが、おいしさと一緒に五感に染み渡り、忘れることがない」と説明。
日本でも新学習指導要領の総則に「学校における食育の推進」が明確にうたわれており、堀口さんは「今後、国内でも菜園が教育の場となっていくのではないか」と推測する
日本野菜ソムリエ協会(東京都渋谷区)は平成20年、日常生活の中で食育を実践できる人材「食育マイスター」の資格を創設した。
「簡単に誰にでもおいしいものがコンビニエンスストアなどで買える時代だからこそ、食育で旬を伝える野菜の良さを伝えていきたい」と、資格創設にかかわったNPO法人「日本食育ランドスケープ協会」(千葉県市川市)の浮谷王子(きみこ)理事長。
今年6月末現在の有資格者は、「ジュニア食育マイスター」と「食育マイスター」合わせて計212人。
【津川綾子】
産経新聞より
投稿者 trim : 2010年07月20日 11:56