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2010年05月28日
ミドリムシが空飛ばす
新日本石油と日立プラントテクノロジー、東大発ベンチャーのユーグレナは27日、微細藻の一種、ミドリムシを原料としたバイオジェット燃料の共同研究を行うと発表した。
2018年度の事業化を目指す。
地球温暖化対策のため、欧米でも国際石油資本(メジャー)が藻を使って研究を進めている。
安全性などに関する国際規格が定められる可能性は高く、新日石などは規格づくりの交渉にも備える。
ミドリムシは、二酸化炭素(CO2)を吸収して光合成をする一方で、ジェット燃料と同じ構造の油脂を体内で作る。
3社でミドリムシの効率的な培養手法の 確立、培養装置の開発を進める。
新日石と日立プラントはベンチャーキャピタルとともに、計3億円をユーグレナに出資した。
今年度はCO2排出抑制の効果や、供給の安定性、コストなどの点から事業化の実現可能性を検討する。
バイオジェット燃料の開発は、全日本空輸と日本航空からの依頼がきっかけという。
日航は2009年にバイオジェット燃料を使った試験飛行に成功しているが、このときは既存のジェット燃料に藻など植物由来のバイオ燃料を50%混合したものだった。
今回の研究ではバイオ100%のジェット燃料の製造を目指す。
ジェット燃料は、凍結しにくいことや、金属の腐食を引き起こさないことなどが求められる。
環境省の地球温暖化対策のロードマップ試案では、今年度から来年度にかけてバイオ燃料混合率50%のジェット燃料の規格を定め、その後2、3年程度かけて100%バイオ燃料の規格を決めるとしている。
並行して生産を 促進していく考えだ。
世界ではすでにメジャーの米エクソン・モービルや英BPなどが研究を進めている。
航空会社でも英国航空(BA)が、ロンドン郊外に廃棄物を使ったバイオ燃料の工場建設を計画しており、2014年から一部をバイオ燃料でまかなう方針だ。
各地で研究が進む中、欧州連合(EU)でもバイオジェット燃料の規格策定の議論が進められている。
一方で欧州議会は2008年、欧州の空港に離着陸する航空便について2012年以降、国籍を問わず欧州連合域内の排出量取引制度の対象にすることで合意した。
CO2排出量の削減目標を課せられ、達成できなければ排出枠を購入する必要に迫られる。
これを受け、国際航空運送協会(IATA)は、排出枠購入を避けるために2020年までにCO2排出量を毎年1.5%削減する目標を掲げた。
航空業界全体で年間50億ドル(約4,500億円)のコストが必要との試算もあり、CO2排出の少ない燃料への切り替えを進めることが不可欠となっている。
【粂博之】
フジサンケイ ビジネスアイより
投稿者 trim : 2010年05月28日 10:16