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2009年10月20日
“厄介者”を資源に
琵琶湖で悩みの種となっている水草。
特に南湖では異常繁茂し、船の航行や漁業に支障が出ている。
そんな厄介者を湖岸を走るバスなどの燃料に活用しようと、京大や県の研究機関が続けてきた実験が、来年度にも実用化される見通しになった。
21~23日に長浜市の県立長浜ドームである「びわ湖環境ビジネスメッセ」でパネル展示される予定で、水草に悩む国内外の河川や湖にとっても朗報となりそうだ。
異常繁茂の原因については、1994年の大渇水で湖底まで日光が差し込んだため、カナダ藻などの水草が伸び始めた、との説もある。
今月8日の台風18号の接近後、湖岸には大量の水草が打ち寄せられ、悪臭を放つようになった。
大津市のなぎさ公園では14日、市と県の職員らが列になって水草の除去作業を行い、岸辺にはみるみる山ができた。
毎年、除去作業を続けている県は、2006、2007年度はそれぞれ7,400万円を投入し、3,000㌧弱を回収して農家に肥料として無償提供した。
しかし財政難の中、2008年度の予算は4,800万円に削減され、回収量は約2,000㌧に。
「これ以上の除去は難しい」のが現状だ。
これを「資源」にしようと考えたのが、県東北部工業技術センターの松本正主任専門員(50)。
石油高騰を機に代替燃料として注目されるバイオエタノールを精製しようと2007年6月に研究を始めた。
その後、遺伝子を組み換えた酵母を開発した京大エネルギー理工学研究所が参画し、精製量が急増。
今年9月から100㍑の大型試験器で量産実験を行ったところ、サトウキビやトウモロコシからの精製率以上の精製が可能になった。
今後は、草を乾燥させずに刈り取ったまま精製して効率を高める方針。
来年4月以降は、湖岸の港近くにプラントを設置しての実用化を検討中で、出資に前向きな企業や財団も募る。
淡水湖の水草問題はアフリカのビクトリア湖をはじめ世界的に顕在化しており、京都・嵐山の桂川や淀川でも課題となっている。
京大の渡辺誠也助教(分子生物学)は「水草が町のバスや公用車の燃料となれば、厄介者は宝になる。循環型社会のモデルとして行政にも応援してほしい」と話している。【安部拓輝】
毎日新聞より
投稿者 trim : 2009年10月20日 17:17