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2009年10月12日
「環境配慮型店舗」
24時間営業が当たり前のコンビニエンスストア業界は、環境意識の高まりや消費不況の影響による既存店売上高の減少を補うためのコスト削減策として、店舗の使用電気量削減が緊急の課題となっている。
このため、各社は実験店舗などでさまざまな検証を行っているが、コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンは8月31日、最新鋭の環境配慮型店舗「多摩豊ケ岡4丁目店」(東京都多摩市)をオープンした。
この店舗には、京セラや旭硝子などの協力で、多くの最新省エネ設備を導入。
特徴的なのは、レジ部分から通路に沿って天井に光の取り入れ口として設置された「トップライト」だ。
太陽光をふんだんに取り入れることができるため、基本的に昼間は照明を消して使用電気量を削減できる。
さらに、トップライトは採光の際に熱が店内に伝わらないよう断熱効果の高い特殊なガラスを専用に開発した。
セブン-イレブン・ジャパン建設開発部の伊東誠マネジャーは「自然光を取り入れる実用店舗は日本で初めて」と自負する。
屋根には太陽光パネルを設置し、発電した電力は、店内や弁当の照明用に使用。
店内や冷凍冷蔵庫など設備のすべての照明は、蛍光灯に比べて消費電力を抑制できるLED(発光ダイオード)を採用した。
ただ、「これまで使われてきた交流給電システムでは、LEDを導入しても電力消費量の削減に結びつかなかった」(伊東マネジャー)と指摘する。
LEDは直流電流で発光し、太陽光で発電される電気も直流電流。
しかし、一般的なコンビニ店舗は交流システムがほとんどのため、太陽光で発電した電気はいったん交流に変換され、LED発光用に再び直流に戻す必要があった。
直流から交流、交流から直流に変換する際、電気の損失が起きるため、省電力のLEDでも電力消費量の無駄が多くなり削減にならなかったという。
これに対応し、セブン-イレブンは太陽光で発電した直流電流をそのままLEDで消費できる最新システムを導入。
変換ロスをなくして電気の使用効率の向上を実現した。
照明設備以外にも、冷凍冷蔵庫の室外機から出る排熱を利用した給湯設備導入でエネルギーの使用効率を向上。
冷凍冷蔵庫のドアを特殊ガラスにすることで霜取りヒーターを撤去し、使用電気量の削減に生かした。
商品の陳列棚についても、中古のものを色を塗り替えてリサイクルし資源を有効活用する工夫を行った。
これらの省エネにより、新店舗の消費電力量は、2008年度の1店舗平均に比べて約3割削減できる見通しだ。
省電力化だけでなく、利用者にも配慮している。
LEDの場合、白い光が直線的に進むため、光が拡散する蛍光灯に比べると明るさと温かみが少ないという欠点がある。
このためオレンジ色のLEDを混ぜるとともに、商品の陳列棚を照らすようにして利用者が見やすいようにした。
セブン-イレブンは、フランチャイズ(FC)加盟店舗の水道光熱費の約8割を本部が負担する契約となっている。
このため、2007年度には85本使用していた蛍光灯を、今年1月以降の新店や改装店は54本まで減らすなど、省エネ型店舗の開発に積極的だった。
今回の最新鋭の環境配慮型店舗の2店目として、来年の京都市での開店に向けて準備を進めている。
さらに、寒冷地でも環境対応店舗の出店を進めることで、全国的な展開を目指している。(阿部賢一郎)
フジサンケイ ビジネスアイより
投稿者 trim : 2009年10月12日 10:35