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2009年09月30日

「島外との関係」がカギ

27年ぶりにトキが大空を舞ってから1年。

29日には新たに20羽が新潟県佐渡市内で放鳥され、地元では島内定着と繁殖への期待が一段と高まってきた。

その実現には、失われた里山など自然環境の復活が欠かせない。
成否のカギを握るのは、トキの観光資源としての活用を含めた「島外との関係」といえそうだ。


「トキと暮らして1年で佐渡の人は変わった」―。
こう語るのは、NPO法人「トキどき応援団」で餌場作りなどの活動をしている重政治巳さん(70)だ。

「放鳥前は無関心だった島民も、間近で見ればすぐにファンになる。トキは優秀な外交官なんです」と重政さん。
おかげで、応援団員は180人に増えたもの の、人手はまだまだ足りない。
島外からの協力も必要となるが、短期滞在者にどうすれば活動に関心を持ってもらえるのか…。

佐渡観光は苦境が続き、平成20年度の観光客はピーク時の半分の60万人さえ割り込んだ。
そこで、トキを観光に生かしつつ、自然環境整備に必要な新たな人手の確保にも役立てようという動きもある。

重政さんたちは、観光客に佐渡の自然を知ってもらおうと、整備した餌場を中心にハイキングコースを開発、個人客の受け入れを始めた。
佐渡観光協会によると、佐渡汽船の割引などで家族客が目立ち始め、個人客向けツアー開発など新しい試みも続いているという。

新潟大学の元永佳孝准教授は「都市住民が農業などを体験するグリーンツーリズムにヒントがある」と話す。
自ら植えたイネの成長をインターネットのライブ映像などで観察する“追体験”をトキ観察にも応用すれば、「息の長いファンが全国に生まれる」。
佐渡の自然の象徴でもあるトキとの共生の輪を広げる取り組みはこれからが本番だ。


産経新聞より

投稿者 trim : 2009年09月30日 11:15