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2009年09月19日

気軽に農体験「WWOOF」

有機農場で働く代わりに宿泊場所と食事を提供してもらう英国発の「WWOOF」(ウーフ)と呼ばれる仕組みが、国内で広がっている。

金銭のやりとりなしで気軽に農体験ができるのが特徴。

農業や食の安全への関心が高まる中、20~30代の若者から田舎暮らしにあこがれる中高年らの人気を集めている。


神奈川県三浦半島にあるフラワーガーデン「イイジマ農園」。
イチゴ狩りやサツマイモ堀り、無農薬栽培の野菜や花摘み体験ができる。

この農園で雑草取りに汗を流すのは埼玉県から来た今野博英さん(36)。
今月からウーファー(働き手)として滞在し、花の手入れや除草など簡単な農作業を手伝っている。
仕事は毎朝7時からスタート。
「慣れない作業はきついが、自然の中で土に親しむ暮らしは気持ちいい。毎日が新鮮です」と張り切る。

今野さんはIT関係の企業に勤務していたが、体調をくずして退職した。
かねてから興味があった「農」への入り口として、気分転換も兼ねてウーファーに登録。
イイジマ農園は、長野県のトマト農家に続く2軒目だ。
「地に足のついた生活が自分に合っている。就農へのハードルの高さも分かったので、将来何らかの形で農業にかかわる仕事ができれば」と意気込む。

3年前からウーファーを迎え入れる同農園の飯島聡さん(52)は「皆まじめに働いてくれる。最初は人手が必要で始めたが、いろんな国や年齢の人と交流できて刺激を受けている」。これまでに国内外の約20人を受け入れてきた。

1970年代に英国で誕生した「ウーフ」は、人手が必要な有機農家と農業体験がしたい都会の人を橋渡しする仕組み。
現在は欧州やオーストラリア、韓国など世界20カ国に広がり、日本では平成14年から本格的な活動が始まった。

ここ数年口コミなどで注目が集まり、受け入れ先(ホスト)は北海道から沖縄まで350カ所以上、ウーファー登録者は10代から70代まで約3,000人に増加した。
日本事務局(札幌市)の星野紀代子代表は「食の安全意識やエコ志向の高まりで、双方のすそ野が広がってきた。定年後に自給自足を始めたい中高年、旅行目的で滞在する人も少なくない。金銭のやりとりが一切ないので、親戚(しんせき)の農家を手伝う感覚で滞在してもらえれば」と話す。

人気の背景には、若い世代の農業への関心の高まりもある。
全国の新規就農相談センターへの相談件数は年々増え、19年度の約1万3,000件から昨年度は約2万2000件と一気に増えた。

ウーフは気軽に農の現場に触れる絶好の機会ともいえる。
しかし、『農業成功マニュアル』の著者で農業ジャーナリストの斎藤訓之さんは「農家の労働実態は甘くない。もし真剣に就農を考えているなら、その現実を認識したうえで、自分がどんな目的で行くのか事前によく話し合うなどしっかり準備して」と呼びかける。

■WWOOF World Wide Opportunities on Organic Farms(世界に広がる有機農場での機会)の略。
1日6時間程度の労働の見返りに、宿泊と食事の提供を受ける仕組み。
ホストには有機農業に取り組む農家のほか、農家民宿、農家レストランなどがある。
事前に登録が必要で年間登録料はホスト8,500円、ウーファー5,500円。
所在地や業種などの情報をもとに自分で直接ホストと連絡をとり、滞在先を決める。
詳細はWWOOFジャパンのホームページへ。

産経新聞より

投稿者 trim : 2009年09月19日 20:00