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2009年09月14日

「食」の産学協働

食の安全や地産地消など食品分野でも消費者の環境意識が高まる中で、百貨店大手の高島屋は地域と連携した食品販売に本格的に乗り出した。

大阪・堺市の高島屋泉北店では地元の大阪府立農芸高校と共同で、学生らが飼育した豚肉を15日までの期間限定で販売。

環境配慮と農業振興の両面から、取り組みを強化する方針だ。

9日からスタートした同高校との連携では、学生らが実習で育てた豚肉約600㌔を店頭で販売。

一般の養豚業者では3カ月程度の肥育期間を経て出荷される豚肉だが、実習のためこれより20日程度長い飼育期間をとっており、肉厚で味わいが深いという。

このほか、今夏の中元用ギフトとして兵庫県立播磨農業高校(兵庫県加西市)と共同で、学生らが育てた有機栽培米「ひのひかり」を商品化するなどの取り組みを進めている。

一連の活動で「安心・安全など食にかかわる環境配慮の観点から地域の農業振興につなげたい」(同社)と説明する。

高島屋は1994年に「グループ環境委員会」を設置し、グループ挙げて本格的な環境経営に乗り出したほか、百貨店業界では西武百貨店に次いで2001年にISO14001を取得するなど、早くから環境保全の取り組みを進めている。

特に食品リサイクル法に伴い、横浜店で2006年から養豚場経営の「アリタホックサイエンス」(千葉県東庄町)と共同で、店舗で生じる生ゴミを飼料化し、その飼料で育成した豚肉を「アリタさんちの豚肉」と名付けて販売。

また、新宿店では野菜くずなどの生ゴミを元に発生したメタンガスを使ったコージェネレーション(熱電併給)システムで店舗の空調や電気をまかなうなど、循環型社会実現に向けた施策も多い。

これらにより廃棄物の年間最終処分量は11,627㌧(2008年度)と、2004年度比で約2割削減したほか、生ゴミのリサイクル率も2008年度は76.2%と前年度から11.2ポイント向上するなど、環境負荷低減は着実に進みつつある。

「年間延べ2億人が来店し、協力企業や取引先も10,000社を超えるだけに、環境とどう向き合うかは社会に対し大きな影響力がある」(鈴木弘治社長)と、温室効果ガス削減を含め幅広い分野で環境貢献を一層進める考えだ。(内田博文)


フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2009年09月14日 13:26