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2009年09月01日

全戸で「雨水を地下に」

仙台市青葉区の住宅分譲地で、降った雨を土中に浸透させる「雨水浸透ます」を全区画に導入する計画が進んでいる。

水害防止のほか、地下水を蓄える効果も期待される浸透ますの設置が住宅購入の条件。

市は設置費用の助成制度を設けているものの、導入が進んでいないのが実情で、環境に配慮した開発業者の取り組みに注目している。


浸透ますの導入を計画しているのは、積水ハウス仙台支店が青葉区小田原4丁目で分譲している「青葉のまち」。
広さは38,000平方㍍で、全97区画に設置する。

ますは主に直径30㌢のものを宅地の四隅に設置。
雨どいなどからの雨水を無数の穴が開いたますに流し、地下に浸透させる。
下水管に直接放流する普通の雨水ますと違い、ます4個で1時間に3㌧の雨を地中に浸透させることができる。
区画全体では約300㌧、5コースある25メートルプール1杯分に相当する。

雨水の地下浸透は、近年、頻発が指摘される都市型洪水の回避策として期待される。
また、仙台市の場合は悪臭対策の側面を持つ。

旧市街地は雨水と汚水が同じ下水管を通る構造のため、大雨が降ると水があふれ、悪臭を引き起こす要因になっている。

このため市は2003年度から対象区域を定め、一般家庭での浸透ます設置の助成制度を導入。
上限はあるものの原則、既存建物の場合は設置費の全額、新築の場合は半額を補助する。
しかし、認知度が低いのか、助成実績はこれまでに5件と進んでいない。

今回の場合、設置費は1戸当たり4個で約14万円。
通常の雨水ますの設置費は約8万円で、浸透ますとの差額は約6万円だが、市の助成を受ければ負担増は約1万円に圧縮できる。

分譲地内は地域の植生に合わせた約4,000平方㍍の緑地公園を整備するなど、環境対応に力点を置く。
既に約20区画が販売済み。
同支店は「CSR(企業の社会的責任)の観点からも導入を決めた。負担増になるが、むしろ環境貢献の一つとして好意的に受け入れてもらっている」と話す。

市下水道管理部は「分譲地全体での設置は例がない。これを弾みに市内での普及に努めたい」と一括導入を歓迎する。


河北新報より

投稿者 trim : 2009年09月01日 17:23