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2009年08月08日
花火大会、不況で湿りがち
仕掛け、型物、スターマイン――。
腹に響くごう音とともに夜空を彩る花火。
日本の夏の風物詩だが、世界的な不況のあおりを受ける地域も出ている。
今年の花火大会事情は。
7月から8月にかけて各地で開かれる花火大会。
8日は埼玉県熊谷市や前橋市など、9日は新潟市などで開催が予定されている。
しかし、群馬県太田市は5月に中止を決めた。
富士重工業群馬製作所を中心に自動車関連企業などが集積する地域。
「市は中小企業対策に50億円を緊急融資する。その一方で、協賛金を募っては企業の抵抗感が懸念される」という理由だ。
2009年度予算で市税21億円の減収が見込まれ、事業費約5,000万円の全額負担も厳しい。
隣接する伊勢崎市の「いせさき花火大会」も中止になった。
ヤマハやスズキなどの製造業が経済基盤の静岡県西部でも花火大会の中止が相次いだ。
毎年約3万発を打ち上げる袋井市の「ふくろい遠州の花火」は実行委員会が3月に中止を決めた。
約9,000万円の協賛金は4割ほどしか集められるめどが立たなかったという。
実行委は「取引関係のある会社の間で『花火に出す金があるならその分(取引額を)負けろ』という話まであったと聞く」と残念がる。
湖西市の「湖西湖上花火大会」も不況を理由に開催を見合わせた。
新潟県燕市も中止。
同市は下請けを含む金属加工メーカーが多く、大手輸出型企業の業績悪化が響いた。
こうした状況から、例年同様の約2万発が打ち上げられた1日の「第95回足利花火大会」(栃木県)は、大会前、事務局の商工会議所に「開催するのか」という問い合わせが相次いだ。
1903年に始まった伝統行事だけに、「中止」と早合点して存続を求める声も寄せられたという。
花火業界団体の日本煙火協会(東京都)はホームページに全国の大会情報約200件を掲載している。
河野晴行専務理事は「祭り同様、昔からの地域行事として根付いた花火大会はまずやめない。最近、イベントとして始めた大会に中止が多いのでは」と指摘。
そして「花火には不況や災いを取り除く厄払いの意味があり、こういうご時世こそ景気づけになる」と強調する。
静岡県磐田市で7月18日に開かれた「愛宕神社奉納手筒花火」。
例年2基の仕掛け花火を1基に減らしたが、事務担当者は「市民に元気になってもらうには必要」と話した。
協賛金が目標を上回る6,973万円に達したケースもある。
長野県諏訪市の「第61回諏訪湖祭湖上花火大会」だ。
1949年、戦後の混乱の中で市民に希望を与えようと始まり、湖上の「ナイアガラ」など、山に囲まれた自然をいかした花火にファンも多い。
同市によると、精密機器などの製造業が多く、大口を含めこれまで協賛した24社に断られたが、新規に8社が加わり、「厳しい時こそ元気を出そう」「福利厚生費を削って(協賛金を)出したい」と計254社が応じてくれたという。
ほぼ例年並みの4万発を15日に打ち上げる予定だ。
毎日新聞より
投稿者 trim : 2009年08月08日 13:10