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2009年06月12日
汚水流入防止の浄化作戦
2016年夏季五輪の招致を見据え、東京都が外国人観光客が多く集まり「日本の顔」ともなっている皇居外苑の堀の浄化に向け、下水道整備を進めている。
大雨の際に、下水道の汚水が堀に流れ込む構造を2015年度までに改良し、水質悪化を食い止める作戦だ。
皇居を取り囲む堀は、千鳥ケ淵や桜田濠など大小13からなる。
面積は計37万平方㍍と東京ドーム8個分に匹敵する都心のオアシスだ。
堀を管理する環境省によると、現在の主な水源は降雨で、水の循環がほとんどないため、底にヘドロやごみなどの汚れがたまりやすいという。
これに加え問題視されているのが下水道からの汚水流入だ。
東京23区の多くの地域では、汚水と雨水を1つの管で流す「合流式」を採用。
通常は汚水だけが流れているが、大雨の際には家屋への浸水被害を防ぐため、周辺地域の雨水を一斉に下水道に流し込む。
流量が下水処理場の能力を超えた場合には、千鳥ケ淵など4カ所の放流口から、堀に汚水混じりの水が入ってしまう。
防災のためとはいえ、水質悪化につながることは否定できない。
リンや窒素を含む汚水は富栄養化を招き、プランクトンを大量発生させる。
特に夏場は深刻で、増殖したアオコが腐って悪臭を放つ。
このため都の計画では、放流口とつながっている幹線下水管を約2.5㌔延長して放流先を隅田川に切り替えるなどの方法で、堀に汚水が流れ込まないようにする。
環境省も対策を進めており、1995年以来、アオコが発生する春から夏にかけて浄化装置で水を濾過(ろか)。
2003年と今年3月には堀の水を抜き、大掃除をした。
さらに抜本的な改善に向け有識者の検討会を設置し、地下水など新たな水源から水を取り込むことが可能か検討している。
同省皇居外苑管理事務所は「都の下水道工事はかなりの効果が見込める」としており、同省との相乗効果を期待している。
フジサンケイ ビジネスアイより
投稿者 trim : 2009年06月12日 10:26