« 【エコシティー】 京都市 | メイン | 廃品消防ホース »

2009年05月05日

緑と水のダブルカーテン

都心部の気温が周辺より高くなる「ヒートアイランド現象」対策として、積水ハウスが大阪市のビル建設現場で水と緑を使って暑気を和らげる試みに取り組んでいる。

現場の仮囲いに草木を植栽し、囲いの内側にメッシュ状のネットをはって水を伝わせる「二重のカーテン」方式により、周辺の気温を5度以上も下げる効果が確認されている。

同社は「利用を広げるなど次の展開も考えたい」としており、全国各地のヒートアイランド緩和に一役買いそうだ。

このヒートアイランド対策は、大成建設が大阪市中央区本町の御堂筋沿いで施工している、高さ132㍍の超高層ビル「本町ガーデンシティ」(27階建て延べ約5万平方㍍、平成22年6月末完成予定)で昨年夏にスタート。

真夏日や熱帯夜が東京や名古屋よりも多い大阪の中心市街地で、クールスポットを創出するのが目的だ。

道路に面する既設の仮囲いの上部に低木のプランターを設置して高さ1.2㍍の植栽用ネットを張ったうえで、「緑のカーテン」に見立てたつる植物を植栽。
一方、仮囲いの内側には大成建設が開発したネット給水システムを活用し、「水のカーテン」に見立てて、メッシュ状のネットに水を流す仕組み。

植物の蒸散作用や気化熱で周囲の気温を引き下げ、昨年9月、実験している物件の近隣の建築現場の気温と比べたところ、仮囲い周辺のほうが平均1.5度ほど低かった。

午前中には5度以上も低くなっていた時間帯もあって、大成建設の現場関係者は「体感ではもっと温度が低く感じた」という。
全国的にもヒートア イランド現象が過酷な大阪で、建設現場の作業効率低下を食い止めるのに役立ったという。

「緑のカーテン」については、都会のオアシスとしてチョウやトリなどが飛来するきっかけづくりとしても期待されている。

「水のカーテン」は夏季限定の試みで、今夏は7月ごろにスタートする計画。
仮囲いの内側にあるため建設現場の外からは見えないが、大阪市内中心部の現場周辺の暑気緩和にフル稼働する。

ビル完成後には緑のカーテンで育った植物や採れた種などを新たな工事現場や近隣の学校などに活用することも検討されており、積水ハウスは「地域の環境に貢献できるよう、今後も工夫を重ねたい」と話している。

■ヒートアイランド現象■
都市に集中するビルやアスファルトの蓄積熱が気温を押し上げ、郊外と比べ気温が高くなる現象。
緑地や水面の喪失、熱を蓄えるアスファルトやコンクリートの増加などが原因で、自動車やクーラーなどから排出される熱の増加なども影響しているといわれる。
大阪は真夏日や熱帯夜の日数が東京や名古屋よりも多く、現象の度合いは全国で最も高いとされる。


産経新聞より

投稿者 trim : 2009年05月05日 22:47