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2008年11月17日
原油高で「環境よりも懐?」
地球温暖化対策として岩手県が導入し普及を目指してきたペレットストーブの売れ行きが好調で、生産が追いつかない状態になっている。
とはいえ、県の制度は目標を達成できないまま昨年度末で縮小されたが、今年起きた原油高が市民の購買意欲を一気に押し上げた皮肉な現象。
「環境対策よりも財布の中身」といえる状況に県の担当者は、ストーブ普及を喜びながらも複雑な表情だ。
ペレットストーブは木くずや間伐材を粉砕し、小さな円筒形に固めた木質ペレットを燃料にする。
石油ストーブに比べ1台の本体価格は30万~100万円と割高だが、燃料費は、今年7月時点で約半分と割安。
二酸化炭素の発生量は木が成長過程で吸収した量と同じで、地球温暖化対策として注目を集めている。
岩手県は2004年、環境対策と県内の林業振興の両面から、購入・設置した一般家庭や事業所、市町村などを対象に定率を助成する補助制度を導入。
だが2007年度末実績は累計1,124台にとどまり、2010年度末の累計目標2,000台に届かないという。
県は2007年度末に財政難から補助対象を公共施設などに限定した。
ところがその後、原油が高騰。
燃料費節約のため、買い替えに合わせてペレットストーブにする人が増えた。
盛岡市肴町の専門店「グリーングローブ」(高橋郁太郎代表)では、売り上げが前年比2.5倍を記録。
木質ペレットも昨季13㌧を販売したが、今季は30㌧を見込む。
人気は県内にとどまらず、花巻市 のメーカー「サンポット」(坂内孝三社長)では、売り上げが県内で前年比3割増、全国で2倍超、北海道では3倍だという。
葛巻町の介護老人保健施設「アットホームくずまき」では、2003年4月の開所からペレットボイラーを導入。
年間のランニングコストは600万~700万円と重油ボイラーより割高だったが、今季は原油高の影響で重油より約1,000万円の節約になるという。
神谷信一郎事務次長(39)は「介護報酬が決まっているので、燃料代が上がっても勝手に利用料金を値上げできない。非常に助かる」と喜んでいる。
「燃料の価格差を埋める取り組みをしてきたが、結果的には外部要因が追い風になった」と分析する県は、少ない予算で効果的にPRするため、病院や自治体 など多くの人が利用する公共施設への補助を続行するほか、イベントなどでの周知に努めるとしているが、一般家庭などへの補助復活は考えていないという。
毎日新聞より
投稿者 trim : 2008年11月17日 13:53