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2008年11月13日
海藻から水素エネルギー
海中を漂う海藻をバイオ資源として活用する動きに注目が集まっている。
中でも、海藻をバクテリアが分解し水素を取り出し、環境にやさしい水素電池の燃料として活用する「海藻水素発電」の実現に期待が高まっている。
輸送コストがかさむことで、ガソリンなど燃料価格の高止まりに苦悩する離島にとっては、エネルギー問題の打開策につながりそうだ。
今年10月、島根県隠岐諸島にある海士(あま)町で開催された海藻資源の活用策を探るシンポジウム。
横浜国立大教育人間科学部の谷生重晴教授はコンブやワカメを沖合で養殖し、バイオマス燃料として活用するアイデアを提案した。
海藻水素発電はコンブやワカメなどに含まれるマンニトールという糖アルコールの一種を原料として活用する。
バクテリアによってマンニトールを発酵させ、水素を取り出す仕組みだ。
これによってコンブ1㌧からガソリン24㍑分に相当する水素が、水素自動車用燃料として生産できるという。
人口約2,200人の海士町では、この研究をもとに、町のエネルギーを海藻水素発電によってまかなおうという実証実験が始まろうとしている。
計算上では、約5平方㌔の海藻養殖場で、同町全世帯の電力をカバーできるという。
海士町が海藻水素発電に着目したのは、離島ならではの、エネルギー問題が潜んでいる。
離島のガソリン価格(レギュラー、1㍑あたり)には海上輸送費が上乗せされるためピーク時には200円台近くまで上昇した。
漁船燃料の重油も軒並み上がり、島での生活を圧迫した。
海藻をバイオマス燃料として活用することで、町内の電力の一部をカバーしようと実証試験を計画し、年内に海藻養殖用のいけすを導入する予定だ。
漁船やバスの燃料にも水素を利用することで、隠岐を「水素アイランド」としてアピールする狙いもある。
谷生教授は来年、海藻水素発電による大学発ベンチャー設立も予定している。
谷生教授は「太陽光や風力発電では、エネルギー供給は限られる。日本近海で海藻栽培に本格的に取り組めば、日本のエネルギー自給率は飛躍的に向上する」と指摘している。
海藻バイオマスを巡っては、東京海洋大、三菱総合研究所などを中心に、養殖した海藻からバイオエタノールを大量に生産する計画が進められており、未利用資源の海藻の有効利用が進みそうだ。
フジサンケイ ビジネスアイより
投稿者 trim : 2008年11月13日 10:20