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2008年05月30日
耕作放棄地に実りを(小和瀬農村環境保全協議会)
耕作放棄地を再び農地に――。
埼玉県本庄市小和瀬地区で、住民らによる農地再生事業が今春、スタートした。
草や雑木で覆われていた土地には今、こんもりと土が顔を出し、野菜の苗も植えられつつある。
「いろんな人と協力して農地を守り、農村を活性化させたい」。若者から年配までが共通の思いを胸に、農地再生に向けてともに汗を流している。
農水省によると、全国の耕作放棄地を合計すると、埼玉県の大きさに匹敵する38万6,000㌶(2005年)になる。
埼玉県内でも1万2,000㌶が手付かずのままになっているという。
小和瀬地区でも4.7㌶にわたって、かつての農地に雑草や雑木が生い茂り、畑の農作物を荒らすキツネやタヌキのすみかとなっていた。
「高齢化が進む農家だけではもう、農村は維持できない。今、なんとかしないと」。
危機感を抱いた地元の酪農業、矢島利文さん(63)が、自治会や市民、隣接する群馬県島村地区の農家らに呼びかけ昨年10月、「小和瀬農村環境保全協議会」(矢島会長、約80人)を結成した。
農水省が行う農地・水・環境保全向上対策事業に応募し、年間約123万円の補助金を受けることが決定。
5年をかけて農地として整備する。
希望する農家に貸し出すほか、市民農園としても活用する計画だ。
今年3月2日に実施した1回目の作業では80人が参加し、焼き畑が行われた。
焼け跡から姿を現したのは、空き缶や古タイヤなどの大量のごみ。
想定外のごみ拾いに丸1日をかけ、4月には立ち並ぶ高さ30㍍もの雑木をチェーンソーやノコギリで切り倒した。
5月6日には、掘り起こした6㌃の畑に約20人がサトイモ、ナス、カボチャなど野菜の苗を植えた。
さいたま市の会社員、積田亜依さん(21)は「手のつけられなかった土地が、ここまでになった。そう考えると耕作放棄地ってもったいない」。
隣接する群馬県伊勢崎市の農業、小暮茂さん(68)は「若者がいるだけで張り合いがでるよ。地元もがんばんねえと」と張り切っていた。
今後は、コスモスの種まきや野菜の収穫祭も予定している。
矢島会長は「いろんな人が入ってくるだけで農村は活気付く。ただ大地を耕すだけでなく、活動を通して地域の輪を広げ、人の心も耕していきたい」と話している。
毎日新聞より
投稿者 trim : 2008年05月30日 16:36