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2008年05月21日

茶殻再生商品(伊藤園)

「『お~いお茶』の茶殻を使用しています」

そう書かれている以外は、普通の名刺と区別がつかない。
紙に、緑茶飲料の製造で使用された茶殻を混ぜた、環境にやさしい名刺。
緑茶のトップブランド「お~いお茶」を展開する伊藤園が、今月から約5,000人の社員全員に配り始めた。

名刺100枚に、500㍉㍑ペットボトル1本分の茶殻を使っている。
配合割合は、緑茶製造に必要な茶殻の量を推測できるため、非公開。
「見ただけだと量は少なく見えるが、紙は3層になっていて、真ん中の紙には2ケタは含まれている」と、開発した開発3課主事の佐藤崇紀さん。
「植物のケナフを使ったリサイクル名刺は硬く、配合割合が1%を切るものも。こちらの方が多い」と胸を張る。

品質にも気を配った。
「メールアドレス中の『ドット』や複雑な漢字がきちんと識別できる必要があった」。
3層構造にしたのはそのためでもある。
値段は普通の名刺とほぼ同じ。
伊藤園では、「営業先などで話題になり、顔を覚えてもらえる」(広報室)とPR効果を期待している。

以前の茶殻は全量が、堆肥(たいひ)や飼料にされてきた。
使用済み茶殻は水分をたっぷり含み、再利用するにはいったん乾かし、腐らないようにしないといけない。
乾燥茶殻の再利用は一部で行われてきたが、伊藤園は水分を含んだまま再利用できる技術を8年前に独自開発し、応用への道を開いた。

「茶殻を乾燥機で乾燥させるのに燃料を使うのはおかしいと思った」。
佐藤さんはリサイクル技術を開発した動機を語る。

たたみ、ベンチ、建材、ボールペン、株主などに配る事業報告書…。
これまでにも外部の協力を得ながら多くの応用商品を生み出し、販売してきた。
ユニークなのは自動販売機。
周囲の景観になじむよう、茶殻を混ぜたプラスチックの枠を取り付けている。
京都・醍醐寺の要請で製作したところ、評判となり、今では病院や介護施設を含め、全国100カ所に設置されている。

伊藤園は、緑茶製造で年間約4万2,000㌧の茶殻を排出している。
応用商品への茶殻使用量はそのうち100~200㌧で、全体に占める割合はまだまだ少ない。
しかし応用商品を販売すれば、堆肥や飼料にするより利益になる。

茶殻入り名刺はすでに数社から作成の引き合いがきている。
近日中には協力会社の日本ケミフェルト(香川県多度津町)を通じ、靴のインソール(中敷き)を売り始める。
消臭・抗菌作用のある茶殻は中敷きの材料にうってつけ。
「応用可能性は大きい。もっと増やしたい」。
佐藤さんは、茶殻リサイクルのビジネスとしての拡大に期待を寄せる。

フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2008年05月21日 11:24