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2008年03月31日
ごみ固化燃料化 52施設の処理費、焼却の2倍
ごみを燃料に変えるリサイクル技術として注目されたRDF(ごみ固形燃料)化施設で、自治体が運営する全国52カ所の平均処理費用(2005年度)が1㌧当たり約5万2,000円と、焼却処理のほぼ2倍に達していることが毎日新聞の調べで分かった。
施設でのごみ処理量は年間70万㌧超のため、RDF導入で国民負担が年間約200億円重くなった計算になる。
燃料としての評価が低いためRDFの販売も不振で、事業は事実上破綻(はたん)している。
RDF化施設は1993年度から国の補助対象事業となり、環境省によると、建設費などでこれまでに支出された補助金と交付金は計約559億円。
今回判明した処理費は各自治体が支払ってきたコストで、操業を停止しない限り重い負担が続く。
処理費用は人件費、光熱費、修繕費などの運転経費に、施設建設の際に自治体が行った起債(借入金)の償還費を加えた額で、現在稼働中の53カ所の施設のうち、2007年3月に稼働し2005年度の費用が算出できない奈良県広陵町の施設を除く52カ所から回答を得た。
その結果、ごみ1㌧当たりの処理費用は▽3万円未満8カ所▽3万~5万円台27カ所▽6万円以上17カ所で、平均5万2,887円。
費用のばらつきは、施設の故障頻度や規模などによるとみられる。
一般的な焼却処理費用は1㌧当たり2万~3万円前後とされ、RDFが高コストになる理由として、各施設は
(1)工程が複雑で機械設備も多く燃料費、光熱費、修繕費が高い
(2)生産されたRDFを燃焼させた場合、石炭より発熱量が低いなど燃料としての評価が極めて低い
(3)RDFは安全に管理しないと発酵・発熱し、爆発する恐れがあるため保管費用がかさむ
(4)当初「発生しにくい」とされたダイオキシンが生成され対策費が必要になった――などを挙げた。
静岡県の御殿場市・小山町広域行政組合の施設は操業開始(1999年)直後からトラブルが続き、メーカーや商社を相手取った民事訴訟に発展(20億円支払いで和解)。
高コストから焼却を選択する自治体もあり、長崎市は長崎県からRDF導入の打診を受けたが拒否し、焼却炉の建設計画を進めている。
◇ごみ抑制の施策を…ごみ問題に詳しい武蔵工業大の青山貞一教授(環境科学)の話
RDFは経済、技術、管理面などの基本データが公開されないまま推進されてきた。
コスト高は当初から指摘されていたが、全国調査で具体的な数字が出たのは初めてだろう。
失敗は明らかだが、単純に焼却処理に戻るのではなく、ごみの発生抑制、減量化を施策の中心にすべきだ。
◇ごみ処理費用の比較◇
(2005年度、1㌧当たり)
RDF(御殿場市・小山町) 6万6,874円
焼却(三島市) 2万1,842円
*いずれも静岡県で域内人口は約11万人
………………………………………………………
RDF平均(52施設) 5万2,887円
◇RDF
Refuse(廃棄物)Derived(得る)Fuel(燃料)の略で、ごみを乾燥、圧縮して固形化した燃料。
1990年代から全国に建設された。
ほぼ全量が発電所や製鉄所などで燃料として使われているが、多額の処理委託費を支払い引き取ってもらっているのが実態。
三重県で7人が死傷する爆発事故(2003年8月)が起きるなど安全面の問題も明らかになっている。
毎日新聞より
投稿者 trim : 2008年03月31日 11:52