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2007年12月20日
【東京都】廃プラスチックの焼却 全面移行で加速
リサイクル対象外の廃プラスチックについて、不燃ゴミ扱いにしていた東京23区は、来年度から一転、可燃ゴミ扱いにして清掃工場で焼却する。
ダイオキシンの除去など環境対策が整ったうえ、埋め立て処理が限界に近づいていることなどが理由。
一方で「住民感情への配慮」から全面焼却は行わない神戸市など、都市によって扱いは異なる。
食べかすが残るパック、CDケース、玩具など、23区では不燃ゴミとして収集、埋め立て処分している廃プラが、来年度から可燃ゴミとして焼却されると聞いた杉並区の40代主婦は「え~、プラスチックなんか燃やして大丈夫かしら…」と不安をのぞかせる。
23区は昭和48年前後から、廃プラを不燃ゴミとしてきた。
焼却で出る有害物質の除去が不十分だったうえ、焼却炉の能力にも限界があったためで、住民には「プラスチックは燃やせない」という意識が根付いている。
一変するきっかけは平成17年5月、環境省が廃棄物処理の基本方針を改定したこと。
平成12年1月の特別措置法施行によるダイオキシン対策進展や、埋め立て処分場の逼迫を受け、廃プラは「発生抑制、再生利用を進めてもなお残るものは埋め立てせず、(焼却での)熱回収が適当」としたのだ。
23区も同10月に平成20年度全面実施を決めており、22清掃工場などを管理運営する東京二十三区清掃一部事務組合は、廃プラの「サーマルリサイクル(燃焼再利用)」の広報に躍起。
「全工場で対応を終えており安全」と、企画担当係長の池田真司さんは強調する。
ダイオキシン対策では、高温燃焼や排ガスの急冷で発生を抑え、さらに活性炭や濾過式集塵器でも除去。
焼却灰は高温で溶かしてガラス状の砂(スラグ)にし、舗装などに再利用する。
「各工場での試行では、排ガスのダイオキシン濃度は規制値の100~100万分の1以下。検出なしも多い」
23区で収集される廃プラは49.6万トン(平成16年度)。
うち3分の1は可燃ゴミに混入して焼却され、31.5万㌧が不燃ゴミとして埋め立てられる。
この埋め立て分を焼却するなどすれば、東京湾の処分場が満杯になるのを、30年後から50年後に20年延ばせる。
さらに焼却熱による発電量が1時間あたり約1億9,900万㌔㍗、約5万7,000世帯の年間使用分増加するが、同時に温室効果ガスの二酸化炭素が増える。
埋め立て後に発生するメタンガスや、売電による電力会社の発生抑制分を差し引いても、0.7万㌧増える見通しだ。
23区の区長会などによると、平成17年度時点で東京以外の政令指定15市(現在は17市)のうち、全面焼却しているのは9市、焼却・埋め立ての併用が3市、埋め立てのみが3市と、対応が分かれる。
大阪市は、24時間連続焼却炉を昭和38年に全国で初めて導入し、昭和55年から廃プラの全面焼却態勢をとっている。
「山間部が少なく、埋め立て地確保が難しいのが最大の理由。10清掃工場は廃プラ焼却を前提に整備し、ダイオキシン対策も平成14年度までに完了した」と、環境局業務企画担当課長の濱真理さん。
仙台市は、かつて不燃ゴミ扱いだったが、埋め立て地の確保難で「平成3年度から全3工場で全面焼却を行っている」(環境局施設課)。
半面、神戸市は「全面焼却の予定はない」。
ダイオキシン対策後の平成16年秋から、食品が付着した容器類に限り焼却しているが「他は不燃ゴミとして埋め立てている。安全かどうかより、安心できるかどうかという、市民感情に配慮した」(環境局環境政策課)という。
東京都に続いて廃プラ全面焼却に移行する自治体は増えるとみられるが、住民への十分な説明が不可欠だ。
産経新聞より
投稿者 trim : 2007年12月20日 15:11