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2007年11月04日
タツノオトシゴ、小学生が放流(マリンピア松島水族館)
松島湾の本来の生態系を取り戻すとともに、環境浄化のシンボルの一つにしようと、松島町のマリンピア松島水族館は、地元小学生たちとともに、タツノオトシゴの一種「サンゴタツ」の放流活動に乗り出した。
なじみの薄い生き物だが、以前は同湾に多く生息。近年の水質浄化でようやく生息環境が整ってきたという。
タツノオトシゴは分類上は魚類で、オスの腹部にある「育児嚢(のう)」という袋にメスが卵を産み付け、オスが守り「出産」することで知られ、古来、安産のお守りや漢方薬に使われてきた。
このうち、サンゴタツは北海道南部―九州の日本近海や中国に分布する。
松島湾は1950年代以降の急速な産業発展で工業・生活排水が流入し水質汚濁が問題化。
サンゴタツなどが生息するアマモやアカモクなどの藻場が減少し、サンゴタツの数も激減した。
同水族館は、絶滅回避のため1980年代後半に数年がかりで人工的な繁殖を成功させている。
放流事業は昨年開始した。
背景には水質環境の向上があるという。
県が1991年に「松島湾リフレッシュ事業」を開始。
浄化槽の整備や海水交換などの対策を続けた結果、この2、3年で藻場が拡大。
サンゴタツが育つ環境が整ったと判断した。
先月25日、地元の同水族館の担当者と、松島町立第一小の3年生15人が海辺に集合。
児童たちは初めて目にするサンゴタツに「可愛い」などと歓声を上げながら150匹を松島湾に放流した。
放流したのは、同湾で捕獲した親から生まれ、ふ化から1~3カ月の幼魚。
誕生時は7㍉ほどだが、4~5カ月で約8㌢に成長する。放流数は昨年10月分と合わせ300匹に達した。
一度に平均100匹の子供を産むとされ、増殖への期待も高まる。
同館展示部第一課の大谷明範さんは「海は一つでも生き物が減少すると、生態系が崩れ他の生き物にも悪影響が出る。いろんな生き物が暮らした昔のきれいな海に少しでも近づけられたら」と放流の意義を語る。
サンゴタツをひしゃくですくい海に返した佐々木連太君(8)は「元気に育って、たくさん子供を産んでほしい」とはしゃいでいた。
毎日新聞より
投稿者 trim : 2007年11月04日 12:17