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2007年10月08日
六本木に都心のオアシス(アークガーデン)
ヒートアイランドや地球温暖化を防止するため、ビルの屋上に大規模な緑を作り出す屋上緑化がひろがっている。
その先駆けとなった東京・六本木の森ビル・アークヒルズにある7つの屋上庭園「アークガーデン」は、園芸家の杉井明美さん(57)が、10年前から専任ガーデナーとなり、100人の仲間とともに四季折々の植物を育てている。
全体で約3,300平方㍍に及ぶアークガーデンには、4万本の樹木と約250種1万2,700本の草花が植えられている。
中でもサントリーホール上の庭園では、コムラサキシキブにオミナエシ、ススキ…と日本人にはなじみ深い草花が秋風に揺れている。
秋とはいえ、大きなつばの麦わら帽子、蚊よけのための蚊取り線香が欠かせない。
トンボやバッタは言うに及ばず、ヘビやカエルもすみ着き、国土交通省の平成16年の調査では、ヒヨドリやツグミ、メジロ、スズメなど13種の野鳥が確認されたという。
「季節ごとに植え替えるのではなく、多年草を中心に、春になれば春の花が、秋になれば秋の花が自然に咲きだす。害虫はできるだけ除きますが、虫に食われた葉もまた、自然で美しい」と杉井さんは話す。
都市に緑を生み出すのは、人の努力なしにはありえない。
杉井さんは週2回程度、同ガーデンを訪れ、手入れをしているという。
「植物はすごく順応性が高い。屋上だからといって、特別に考えることはないんですよ。私も楽しみながらやっています」
10年前に杉井さんが専任ガーデナーを引き受けたとき、アークヒルズの建設当時(昭和61年)に植えられた樹木は育っていたが、庭は荒れ、茶色い土がむきだしの状態。
手入れを始めるにあたり、「アークガーデニングクラブ」(定員100人)を組織し、クラブのメンバーとともに植物の世話を行ってきた。
肥料は庭園内に設置したコンポストでまかない、農薬は使っていない。
住居施設の間の駐車場の上にあるコミュニティーガーデン「メインガーデン」では、白、青、赤などに色分けされた花壇に、さまざまな植物を植える。
また路上駐輪の絶えなかった大通り沿いに植木鉢を置き、手入れを続けることで路上駐輪を一掃した。
こうしてアークガーデンは都心のオアシスに生まれ変わった。
杉井さんたちの活動は国内外で高く評価され、昨年はオーストリア政府とECが後援する民間の環境賞「エネルギー グローブ アワード」を受賞した。
杉井さんは「庭園づくりは確かに非効率で遠回り。でも、手間をかけてこそ都市の風景に根付く。この10年、クラブの仲間が支えとなりました」と振り返る。
サントリーホールの上にあるルーフガーデンとローズガーデンは周辺の住宅やオフィスから「見て楽しめる」ことをコンセプトに作られ、野鳥保護のため通常非公開。「秘密の花園」と呼ばれている。
人の出入りが少ない分だけ、豊かな生態系が育まれている。
庭園というと洋花を中心に植栽され、完璧に手入れされた花壇を思い浮かべるが、杉井さんは日本らしい庭園づくりにこだわる。確かにルーフガーデンは、かつての里山を思い出させてくれる。
杉井さんは「都会では感じにくい四季の変化を、植物を通じて感じることができます。単に屋上緑化を温暖化防止の機能としてとらえるのではなく、ビルを借景にした新しい庭園文化として広めたい」と語った。
ルーフガーデンはサントリーホールが休館する春と秋の数日だけ公開される。
今回の特別公開は9日正午から午後7時まで。
産経新聞より
投稿者 trim : 2007年10月08日 14:31