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2007年09月19日
環境危機時計、世界平均14分進む(旭硝子財団)
「環境危機時計」の針の世界平均が14分進み9時31分と、1992年の調査開始以来最も進んだ。
この時計は、環境問題で人類の将来がどのくらい脅かされているかを時刻で表示する。
その針は何を反映しているのか。
環境危機時計のモデルは、核戦争による地球滅亡までの時間を示す「終末時計」だ。
今年の日本は9時34分。
昨年より19分、1992年より1時間56分進んだ。
調査は世界中の研究機関や行政機関、NGO(非政府組織)などで環境問題を担当する専門家を対象に実施。
ほとんど不安はない=0~3時▽少し不安=3~6時▽かなり不安=6~9時▽極めて不安=9~12時――の4区分を基に、現在の時刻を答えてもらう方式。
毎年、100カ国近くの数百人が回答する。
調査主体の旭硝子財団は「時計という身近な指標で、市民の環境に対する意識が高まる」と説明する。
16年間の継続調査から浮かび上がったのは、針は地球温暖化をめぐる国際交渉の情勢を反映してきたという点だ。
調査初年の1992年には、国連環境開発会議(地球サミット)が開かれ、世界の首脳は気候変動枠組み条約などを採択し、環境を守る決意を示した。当時の世界平均時刻は7時49分。
だが、温室効果ガスの排出抑制は進まず時計の針は悪い方向に進み続け、1996年には初めて9時台に突入した。
1997年、先進国間で温室効果ガスの削減義務を課した京都議定書が採択された。
すると、針は9時前後を推移するようになり、将来を不安視しながらも落ち着きを見せた。
だが、2001年に世界最大の温室効果ガス排出国の米国が議定書からの離脱を表明した。
議定書は2005年に発効したが米国は参加せず、削減義務の対象国には排出量が急増中の中国やインドは入っていない。
温暖化防止の実効性に暗雲が垂れこめ、この2年間は急激に針が進んだ。
調査を監修した森島昭夫・日本気候政策センター理事長は「今年6月のドイツ・ハイリゲンダムの主要国首脳会議(サミット)など協議は活発だが、具体的な進展はみられない」と指摘する。
地域別の結果は、温暖化による影響度を反映した。
最も危機意識が高いのがオセアニアの10時27分。
島しょ国が点在し、温暖化による海水面上昇に伴って水没の恐れが指摘される。
次いでアフリカの10時2分。
20年までに7,500万~2億2,000万人が新たに水不足に陥ると予想される。
逆に危機意識が希薄だったのは日本を除くアジアの9時10分で、情報が十分伝わっていないのが背景とみられる。
日本の9時34分は、世界平均より「3分」、日本を除く海外平均9時28分より「6分」進んでいた。
その分だけ、日本の専門家が環境への危機を深刻に受け止めているということだ。
京都議定書が採択された1997年以前は、日本の環境危機時計の針は海外に比べ43~75分も遅れていたが、最近では10分以内の差に収まっている。
針はもう戻らないまま破綻(はたん)するのか。
森島理事長は「私たちが地球上で何が起きているのかを謙虚に見つめ、政治や経済などのあり方を変えていけば、明るい未来もありうる」と話す。
毎日新聞より
投稿者 trim : 2007年09月19日 14:28