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2007年08月26日

旅行中、自分の出したCO2「責任持ちます」(JTB関東)

旅行の際に、自分が排出した二酸化炭素(CO2)を自然エネルギーの購入などで埋め合わせる「カーボンオフセット」(炭素の相殺)の動きが広がっている。

地球温暖化の原因とされるCO2をゼロにする団体旅行や、個人旅行でのCO2を相殺するサービスが相次いで登場。
地球に優しい新しい旅スタイルに注目が集まっている。

JTB関東が団体向けに手がけるのが業界初の「CO2ゼロ旅行」。
反響は大きく、4月の販売開始からすでに3,000人以上が参加した。

通常の旅行を楽しみながら、手軽にエコできるのが人気のポイントだ。
交通機関や宿泊施設を使用した際に出るCO2を、環境政策エネルギー研究所の計算式を基に算出。
旅行者は旅行代金に加え、風力や太陽光などで発電した自然エネルギーを購入することで自分が出したCO2を相殺する仕組みだ。
参加者には「グリーン電力証書」やバッジが手渡される。

茨城県立古河第一高校は「生徒に旅を通して温暖化の問題を考えてほしい」と、11月の沖縄への修学旅行で同社のツアーを利用。
飛行機を使う3泊4日の旅では、重量換算で1人約390㌔のCO2を排出。
これをゼロにするには約5,000円が必要になるが、生徒の負担が重くならないよう10%分を相殺するという。
京都への2泊3日の旅なら上乗せ額は500円程度で済む。

同社の樋口誠司マネジャーは「環境のために旅行会社としてできることは何か、と考えた末に生まれた企画。子孫の代まで旅行が楽しめる地球を残すために多くの人に利用してほしい」と呼びかける。
8月には個人向けツアーも実施、今後さらにコースを充実させていく予定だ。

スカンジナビア航空も3月から、フライトによる気候変動への影響を気にする搭乗客が、カーボンオフセットのために環境保護プロジェクトなどに募金できる制度をスタート。
エコロジー大国として知られる北欧への旅を扱うフィンツアーも、類似のプログラムを導入した。
同社によると、スウェーデン-東京間を往復した場合、1人約1・8トンを排出。風力発電や植林事業に約3,000円寄付することで差し引きゼロにできるという。

環境省によると、1人が1㌔移動するための排出量は乗用車で151㌘、飛行機111㌘、バス51㌘、鉄道で19㌘に上り、旅をすれば必ず地球に負荷をかけることになる。
最近はこうした”エコストレス”から、個人旅行や出張でもオフセットする人が増えている。

ある20代のカップルはハワイへの新婚旅行の際に、国内で相殺サービスを手がける「カーボン・トゥ・フォレスト」(CTF)を通して、2人分2.8㌧のこ2を約6,000円で相殺した。
CTFは内外の植林団体と提携し、預けられた資金を植林事業などに寄付することでCO2をゼロに戻すプログラムを作っている。

こうした取り組みは国内では始まったばかりだが、國田かおる代表によると、相殺プログラムを専門に扱う団体は海外では40、50社もあり、カーボンオフセットは急速に普及しつつあるという。
「地球や未来の世代への思いやりとしてオフセットを考えてほしい。お金を払うことで環境問題を意識するきっかけになり、省エネやライフスタイルの変化につながれば」と國田代表は話している。

産経新聞より

投稿者 trim : 2007年08月26日 13:44