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2007年06月10日
温暖化対策ビジネスの覇権争い(ハイリゲンダム・サミット)
ドイツで開かれた主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)では、2013年からの京都議定書の次の温暖化対策が主要なテーマとなった。
日本、欧州連合(EU)などが提案する「2050年に温室効果ガスの排出量50%削減」での合意を目指し、日米欧が激しい駆け引きを繰り広げたが、その裏側には、国益をかけた温暖化対策ビジネスをめぐる覇権争いがあった。
「来年のサミットは、日本の最先端の省エネや環境技術のショーケースにしたい」。
安倍晋三首相は8日、閉幕後の会見で、来年7月に開かれる北海道洞爺湖サミットに向けた意欲を語った。
日本の戦略はこうだ。
世界で最も技術力がある省エネという温暖化を「緩和」するビジネスで主導権を取る。
それから、今後、途上国を中心に必要になる砂防や洪水対策、護岸、食料増産、安全な水の確保、衛生、教育といった、温暖化という環境変化へ「適用」するビジネスについても有利に展開しようとの狙いがある。
温暖化対策ビジネスでは、企業に削減義務を課し、環境税と排出権取引を組み合わせたキャップ・アンド・トレードを先に始めたEUが一歩先んじている。
今回のサミットでは、EUがこの先の温暖化対策ビジネスの主導権をキャップ・アンド・トレード方式の延長で盤石なものにしていこうとする並々ならぬ意欲をみせた。
これに対して、米国は、「2050年で半減」には合意したものの、EU主導を認めたわけではない。
今後、中国、インド、ブラジルなどの新興国が、厳しい削減目標提示で合意するとは考えておらず、むしろ、革新的な新技術と金融を組み合わせるなど世界標準になる可能性のある新たなビジネスモデルを狙っている。
その意味で2050年は「だいぶ先で、技術革新というパラダイムシフトが起きるかもしれない。その時間を置いたという意味で米国は合意しやすかった」(経済産業省幹部)。
温暖化対策ビジネスでは巨額の資金が動く。
「ポスト京都」の枠組みで日本が主導権を握り、温暖化対策ビジネスの覇権を獲得できるかどうかは、日本経済の将来を占う試金石になる可能性を秘めている。
産経新聞より
投稿者 trim : 2007年06月10日 17:30