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2006年08月09日
環境ISO得たけれど…認証”返上”の自治体相次ぐ
環境管理の国際規格「ISO14001」(環境ISO)の認証を得た地方自治体が、認証を“返上”するケースが増えている。
イメージアップや経費節減の効果はあるものの、財政難に悩む自治体には、外部の審査機関に支払う高額な審査費用がネックになるためだ。
費用を切り詰めようと、職員や市民の目で環境への取り組みを独自評価する制度を採り入れるなど、「名より実を取る」動きも広がっている。
2000年9月に兵庫県内の自治体で初めて、本庁と支所で環境ISOの認証を取得した尼崎市。
この9月、3年ごとの更新時期を迎えるが、手続きを見送ることを決めた。
2004年度までの5年間で電気代など計約7,800万円を節減したが、年1回の審査(約150万円)や更新時の経費で年平均約200万円を使った。
市は、市立学校などにもISO認証を広げる予定だったが、さらに費用がかさみ、借金である市債残高が2,000億円を超える現状では難しい。
このため、市は更新手続きをせず、来年度から、環境ISOに準じた独自の評価制度を導入する。
認証を得ている他の自治体の担当者らの審査を受け、認証と同等の“お墨付き”をもらう方法で、外部審査に比べ年間100万円程度が節約できる。同県西宮市も、来春の更新を取りやめ、尼崎市と同様の手法を検討している。
ISO審査機関を認定している財団法人「日本適合性認定協会」によると、2004年7月に527あった認証自治体は、今年6月現在で441に減少した。
外部審査をやめ、ISOの規定上も認められる「自己適合宣言」を採用する自治体もある。
すでに山形県新庄市や長野県飯田市、熊本県水俣市などが実施しており、市職員や地元企業、市民らが、環境ISOの規格に適合しているかどうかを審査している。
こうした動きについて、同協会は「認証がビジネス面で有利に働く企業に比べ、自治体は環境負荷の低減という結果さえ出れば、費用のかかる認証継続にこだわる必要はないと考えるのでは」と分析する。
山田国広・京都精華大教授(環境マネジメント)の話「大切なのはISO認証を維持することではなく、環境保全の取り組みのレベルを保つこと。安上がりというだけで自己監査に変えれば、取り組みが後退する恐れもある。自治体には厳しい監査と、結果の積極的な情報公開が求められる」
読売新聞より
投稿者 Melody : 2006年08月09日 12:50