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2005年07月28日

リサイクルはどこまで可能か(徳島県上勝町)

徳島県上勝町のごみ分別は34種類、ごみ処理はリサイクル率80%。
上勝町は、じつは1997年までゴミを野焼きしていました。しかし適正処理を行うべく、わが町も焼却炉導入を検討、1993年に「上勝町リサイクルタウン計画」を策定して本格的なゴミ対策に乗り出したのです。


まず、焼却するには最も効率の悪い生ゴミ対策として、コンポストと生ゴミ処理機を導入しました(生ゴミ処理機は、家庭用は1台1万円の負担で、業務用はメーカーのモニター機を老人ホームなどに導入して開発に協力。のち給食センターなど公共施設に設置し、飲食店などは共同で大型の処理機を導入)。これで生ゴミをほぼ100%堆肥化することができました。
1997年には小型焼却炉を2機導入。容器包装リサイクル法の施行にあわせてゴミを19分別、その後25分別とし、2001年1月に小型焼却炉を閉鎖してからは35分別にして、できるだけ多くのゴミを資源化しました。どうしても燃やさなければ処理できないものは民間業者に委託し、現在は34分別、生ゴミを除き約80%を資源化しています。
町のゴミ集積所は1カ所で、住民は洗った空き缶やトレイを分別して持ってきます。高齢者や車を使えない住民は、ボランティア(利再来〈リサイクル〉上勝)のメンバーが収集してくれます。2004年4月からは、分別しておけば、シルバー人材センターから、有償で自宅まで取りに来てくれる仕組みもできました。
こうして住民が分別し、集積所に持ち込んだものを町が品目別に荷づくりします。それをストックヤードに運搬し、量がまとまれば、リサイクル業者に取りに来てもらうのです。集積所から後の行程は、すべて町の経費で処理する仕組みになっています。
今では、住民のほとんどが、汚れたものはきれいに洗って分別するのが当たり前と思うようになりました。ここまで住民の意識が変わってきたのは、住民のゴミに対する関心が高まったこと、そして何より役場職員と一体になって協力し、叱咤激励してくれたボランティアの方々のおかげです。住民の皆さんの温かい理解と協力に、心から感謝しています。

しかし、ここまで住民が努力しても、交通の便が良くなるにつれ、町内ではいたる所に空き缶やビニール袋、ペットボトルなどが捨てられ、時には布団や家具、自動車などまで不法投棄されています。ボランティアが拾っても拾ってもゴミは増え続け、きりがありません。日本全体を見ても、産業廃棄物の不法投棄は、2002年度の1年間に発覚しただけでも32万㌧もありました。
問題は、経済が発展すればするほどゴミの量が増え、自治体がこのゴミ処理に多額の設備投資と管理費を費やさねばならないということです。日本は、国が補助金を出して県や広域市町村、企業などの大型ゴミ処理施設やゴミ発電所の建設を促進しています。2001年度の日本のゴミ処理事業経費は、一般廃棄物だけで2兆6029億1000万円。人口一人あたり20,500円をかけて焼却埋め立てを行い、その結果、ゴミをめぐる住民紛争を誘発し、大気を汚し、資源を無駄にしているのです。
このままでは、いくら大金を使って処理しても、目に見えるゴミと、処理施設から排出される見えない化学物質で環境が汚染されていくばかりです。さらに今後、世界の開発途上国が日本のようにゴミを出して焼却、埋め立て処理すれば、地球全体が汚染されます。また、二酸化炭素の排出で地球温暖化も促進されることになり、人間はもとより他の動植物に与える影響は計り知れません。
こうした状況をふまえて、上勝町は、2020年を目標にした「上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言」をしたのです。

日本の論点PLUSより

投稿者 Melody : 2005年07月28日 13:22